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日本工業経済新聞社(埼玉)
2025/10/07

【埼玉】空家解体の現状/協定で所有者と業者のマッチング推進、深谷市など県内23自治体に拡大

 社会問題化している空き家の解体工事をめぐって、自治体が、インターネットのマッチングサービスと公民連携する取り組みが、県内でも広がっている。所有者が、解体費用など詳細情報を取得でき、業者の紹介も受けられるサービス。問題解決の一助になるとして、市町が、プラットフォーム運営会社と協定を結ぶ動きが相次ぎ、9月には深谷市が新たに加わった。これで、県内の締結自治体は少なくとも23に広がった。
 空き家問題は年々深刻化し、放置すれば、隣家とのトラブル、災害対策の遅れなど様々な問題を誘発しがちだ。
 にもかかわらず、空き家が放置される要因は、所有者が、活用や処分の方法が分からず、解体や家財処分などの費用がどの程度になるか分からないことなどが挙げられるという。
 そこで、自治体は、空き家関連の問題解決を支援する解体工事DXプラットフォーム「クラッソーネ」の運営会社(名古屋市中区)と連携して、空き家解体を促進させる動きをみせている。
 その一つが深谷市だ。「空き家除却推進に係る連携協定」を9月1日に結んだ。同市は、相談者に対し、クラッソーネを紹介するため、市役所窓口でチラシを配布したり、市内のすべての空き家所有者に手紙で通知したりすることにしているという。
 クラッソーネが提供するサービスには、解体費用と、解体後の土地売却査定価格の概算額を無料で算定する「すまいの終活ナビ」などがある。
 また、これらの算定結果に加え、空き家を放置した際にかかる想定コストをまとめて示す「空き家価値査定シート」などの機能もある。
 さらに、解体工事の無料相談や、近くの解体業者を紹介してもらえる機能などもある。運営会社によると、解体工事関連で全国2200社以上の専門工事会社が登録している。
 深谷市自治振興課の担当者は「市への相談者に対して、具体的な解体業者名を挙げて紹介しづらいのが現状だった」と説明する。
 同市では毎年、自治会を通じて空き家の戸数を調査しており、24年度末で1600戸強が確認された。調査を始めた14年度の1112戸から増加の一途で、年間50〜60戸のペースで増えているという。
 すでに近隣の熊谷市などが協定締結しており、深谷市の空き家問題担当者が、近隣自治体の担当者らと情報交換するなかで、このプラットフォームとの連携を知り、公民連携にこぎ着けたという。
 すでに24年2月に締結を済ませた本庄市では、協定の更新を続けている。同市の解体工事の補助金制度について、運営会社側のチラシでも紹介してもらっており、同市都市計画課は「制度周知に役立っている」とみる。
 また、「空き家解体について、どこから手を付けるべきか分からない市民にとって、最初の窓口になっているのではないか」(同市都市計画課)と効果を語る。

提供:埼玉建設新聞