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日刊建設工業新聞
2025/10/02

【鳥取】魚道整備や陸域掘削も/再生計画策定が大詰め/日野川水系

 日野川河川整備計画アドバイザー会議第2回自然再生部会(三輪浩会長)が9月29日に開かれ、日野川水系自然再生計画の素案検討を進めた。次回部会で計画最終案を諮り、2026年度の事業評価、27年度以降の実施を目指す。
 同計画は統合水系環境整備事業の一環として、河川整備計画との整合を担保しながら、治水対策と良質な河川環境の両立を図るためのもの。日野川水系らしい多様な生き物を育む河川環境の再生を目標とする。
 前回開催で挙がった意見を踏まえ、基準地点に置く車尾の正常流量についての経年データや、現在の河道状況となった平成初期と比較した場合の生物の変化などを補足した。
 また目指すべき河川環境として4つの目標を掲げており、新たに具体的な整備目標も示した。日野川では車尾堰〜日野川堰にかけ、澪筋に隣接する陸域を中心に平水位+0・2bを目安として掘削。砂礫地や水生植物帯を好む動植物を念頭に、約6fの緩やかな勾配の水際環境を整備する。法勝寺川では、河床が泥・砂泥で緩水環境を好む動植物の生育・生息を促すためワンドなどを整備。環境維持も考慮し最適な位置・形状を検討していく。
 両河川ともに、縦横断方向に連続性を持たせるため魚道を設ける。横断方向では下瀬排水樋管を対象に、粗石尽きの斜路式や階段式の魚道を設置するイメージ。縦断方向では日野川堰でアユなどの遡上が阻害されていると考えられるため、隔壁間の落差を小さくしたり、下流側に魚道を延長するなどの対策を例に挙げた。接続する水路や既存施設の課題を整理し、通水量も考慮しながら最適な整備内容を考えたいという。
 いずれも着工前を含めた短期と中長期の2段階でモニタリングを計画しており、指標種の生育・生育状況や物理環境の変化に着目した調査を実施する構え。
 委員からはモニタリングに際し広範な種を対象にした環境DNA調査を求める意見や、農?期に水路内の堆積土砂が撤去されることを懸念する声が上がった。事務局の国土交通省日野川河川事務所は、年内の計画策定を目指し12月までに第3回部会を開く方針。

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