4月に新規事業化された「名岐道路」について、名古屋高速道路公社(以下、名高速)が有料道路事業として整備するために必要となる議案手続きが行われ、事業費が2200億円に上ることが分かった。10月7日に開かれた愛知県議会建設委員会で、県議会9月定例議会に上程された9月補正予算案などの9議案が審議され可決。この中で、都心アクセス事業の増額分1190億円と合わせて3390億円が増額されることになった。
対象議案は、地方道路公社法に基づく「名古屋高速道路公社の整備に関する基本計画の変更」と、道路整備特別措置法に基づく「名古屋高速道路公社が新設し、又は改築する指定都市高速道路の整備計画の変更」の2議案。委員からの質疑に対し県側が変更の要因などを説明した。
基本計画の変更は、「名岐道路」を名高速が整備するため、国道22号(一宮市丹陽町九日市場〜木曽川町黒田)を追加するもので、国道22号の道路管理者(国)の同意を得るもの。議案可決後、県、名古屋市、名高速が連名で、国土交通省中部地方整備局長に大臣認可を申請する。
整備計画の変更は、名岐道路と都心アクセス事業に係る概算金額と完成予定年度の変更に向けて、道路管理者である県の同意を得るための議案で、名古屋市も道路管理者として市会で採決。可決後、国交省による事業評価部会(有料報告)が開かれ有料道路事業となる。その後、名高速が国交省へ大臣許可を申請する手続きだ。同議案では、「名岐道路」を有料道路として整備するため、整備計画に整備区間、車線数、設計速度、連結位置を加えた。併せて、整備計画の概算額を1兆8740億円から3390億円を増額し、2兆2130億円に変更した。増額の内訳は、名岐道路の新設に2200億円、都心アクセス事業の増額1190億円となる。完成予定年度も「令和13年度(2031年度)」を「令和21年度(39年度)」に変更した。
名岐道路については、4月1日付で国交省が「国道22号名岐道路(一宮〜一宮木曽川)」の新規事業化を発表。名岐道路の一部を構成する一宮〜一宮木曽川の延長6・9`を新規事業化していた。
【名古屋高速道路 都心アクセス黄金・栄地区も増額】
また、都心アクセス事業については、黄金地区と栄地区について、事業費と完成予定年度の計画を変更し、黄金地区の事業費を168億円から186億円増額し、354億円とする。完成予定年度は、27年度から9年間延伸し、36年度までとした。栄地区は、事業費を600億円から1004億円増額し、1604億円とする。完成予定年度は、28年度から8年間延伸し、36年度までとした。
いずれも倍以上の事業費となった要因について質疑があり、県は、黄金地区での要因として、支障となる地下埋設、支障施設の移転補償の増大、資機材・労務費の上昇などと説明。栄地区では、橋脚の補強、上部構造の変更(コンクリートから鉄製へ変更)、地下埋設物の影響低減のための工法の採用、交通規制低減のための工法変更などを挙げた。
この他、用地取得状況では、黄金地区が8月末現在で約8割を取得済み。栄地区は用地を必要としない計画。現在整備中の新洲崎地区も用地取得済みとなっている。
事業状況を見ると、黄金地区については、今後、工事を発注する予定。栄地区については、21年度にECI方式により事業を発注し、25年度は設計を行っている。
なお、新洲崎地区(ECI方式)についても、事業費と完成予定年度の変更について、24年1月に国の認可を受け、670億円を増額し、総額を1098億円とし、完成予定年度も28年度を31年度に変更した。
提供:建通新聞社