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北陸工業新聞社
2025/10/10

【富山】若手技術者らが技術発表/斜面防災協会フォーラム/全国から300人参加

 斜面防災対策技術協会が主催する「第27回斜面防災対策技術フォーラム25in富山〜若い技術者のために」が9日、富山市のホテルグランテラス富山で約300人が参加して開かれた。
 国土交通省北陸地方整備局、林野庁中部森林管理局、富山県、富山市らが後援。
 開会のあいさつに立った若林直樹会長は「自然災害対策の重要性は高まっており、私たち専門家の役割は大きい。地域の復旧・復興に貢献することを使命に取り組みたい」と述べた上で、テーマとなっている若い技術者に向けて「先人が築き上げた立ち上がる活力を受け継ぎ、防災や減災、地域の安全・安心に貢献してほしい」と呼び掛けた。
 来賓の佐藤保之国交省水管理・国土保全局保全課砂防施設評価分析官が「平常時の技術研鑽に加え、大規模災害の際の支援にあたって心強い団体となっている」、新田八朗知事が「災害復旧への多大な貢献など県民の幸せの基盤ある安全・安心な暮らしを支えていることに感謝する」、高松諭北陸地方整備局長が「緊急対応の体制強化や技術力の向上に向けて全国に組織され、地域に精通した協会との連携をさらに強くしたい」と順にあいさつした。
 富山大学名誉教授で富山地学会会長の竹内章氏が「北陸の地震情勢と南海トラフ地震への備え」と題し特別講演。竹内氏は、能登半島地震について震央分布図などを示しながら「ひずみ集中帯で起きた内陸大地震」と定義し「東北沖日本海溝地震の余効変動の後遺症がずっと続いていることと、南海トラフ巨大地震の活動期になっていることで日本海側の活断層で地震が起きた」と分析。また、富山は「砂防のメッカ」と呼ばれると紹介し、立山カルデラを中心とする斜面崩壊などについて解説。過去に起こった災害の経験や教訓を踏まえ、被害を的確に想定するとともに、被害を最小化するための平時からの「事前防災」の必要性を訴えた。
 その後、若手技術者らによる技術発表会が開催された。3つの会場に分かれ、地すべり対策など30編の論文が披露された。技術発表者は以下の通り。奥山ボーリング、アーキジオ、三和ボーリング、共栄興業、日さく、日本工営、国土防災技術、興和、村尾地研、ダイチ、東城、日特建設、日本基礎技術、ホクコク地水、明治コンサルタント、日本海技術コンサルタンツ、アルスコンサルタンツ、エイト日本技術開発、国際航業
 また、檜垣大助災害対応小委員長による「能登半島地震での調査団活動報告」、中野聡一郎富山支部技術参与による「支部の活動報告(子供砂防教室)」も行われた。最後に田中洋一郎富山支部長があいさつして閉会した。
 会場には展示ブースも設けれた。出展者は北陸地方整備局、大日本ダイヤコンサルタント、フルテック、国土防災技術、RC型集水井工法研究会、エスイー、KTB協会・PCフレーム協会北陸支部、サンスイ・ナビコ、柔構造物工法研究会、フロテックアンカー技術研究会、ジオステップ振興会、オサシテクノス、測商技研北陸、前田工繊、R&Tグループ、プロテックエンジニアリング、小断面トンネル排水工法研究会となった。
 なお、10日には立山カルデラ砂防博物館、称名滝遊歩道の高エネルギー吸収落石防護柵などを巡る現地見学会が開かれる。

hokuriku