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日本工業経済新聞社(埼玉)
2025/10/17

【埼玉】秩父市・市立病院建て替え、建設候補地が事実上2案

 秩父市は、老朽化した市立病院の建て替えに向けて、基本計画策定の議論を進めている。最大の焦点となっている建設地について、市街地で一定の広さをまとまって確保できる土地として、現在地を含む3案を事務局側が提示した。ただ、現在地での建て替えは、駐車場が手狭な点などの課題が指摘されており、今後、事実上それ以外の2案で比較検討が進められるとみられる。
 同市では2025年3月に、新病院の担うべき役割や機能などを定めた市立病院建設基本構想を策定。それを受けて、秩父地域の中核病院として具体案を固めるために、25年度から基本計画の策定の作業に入った。
 策定委員会は、小野寺亘・埼玉医科大学医学部医療政策学特任教授を委員長に、学識経験者や医師会、公募市民らによって構成され、6月下旬に初回会合が開かれた。
 その際、事務局側は、新病院建設候補地として、現在地(桜木町8ー9)の面積1万29・61uのほかに2案を提示した。
 その一つが、20年以上前に閉鎖されている旧秩父セメント第一工場跡地(大宮地内)の敷地約3万7000uの一部。すでに空き地となっているが、現在も会社側が所有する民有地のままだ。
 もう一つが約15年以上前に廃校となった旧県立秩父東高校の敷地3万4010・6u。まだ校舎や体育館などが残ったままで、大半が県有地だが、一部に民有地や市有地を含んでいるという。
 いずれに国道近くで交通の便は比較的良いとされている。
 委員会では、事務局側が主導して検討した上で、候補地を一つに絞っていく方針がまとまっているという。
 そのため、10月初旬に開かれた第2回会合では、事務局内部での検討の進捗具合などが示されたものの、候補地を絞り込むまでには至っていない。
 同市市立病院建設準備室は「面積や立地などいろいろなポイントから総合的に判断して、なるべく早く候補地を絞り込みたい」と説明する。
 候補地は民有地を含み地権者らが絡むため、同委員会での候補地検討については非公開で進められることとされた。
 また、会合では、建物の規模や事業費、建設コストに直結する病床数についても、最少120床から最大200床までの4パターンが提示された。現状の許可病床数165床、運用病床数136床を踏まえて、議論が進められる。
 最速を想定した事業スケジュールとして、候補地選定や立地環境整備を25年度中に行った上で、基本計画を26年度半ばまでに策定。その後、27年度早々に基本設計を発注し、翌28年度に実施設計を着手する見込みになっている。
 ただ、「事業全体が遅れ気味になっている」(同市市立病院建設準備室)として、基本計画策定は26年度いっぱいまでかかり、基本設計への取り掛かりがいつになるかは見通せない状況だ。
 新病院の開院を32年度に予定していたが、「後ろ倒しになる可能性が出てきた」(同市市立病院建設準備室)という。
 次回の第3回会合は、12月下旬に開かれる予定。

提供:埼玉建設新聞