北海道建設新聞社
2025/10/17
【北海道】道内の企業版ふるさと納税寄付件数が増加/24年度は1792件
企業版ふるさと納税の寄付件数が北海道で増加傾向だ。2024年度は制度開始以降最多の1792件となり、寄付額も45億790万円と前年度を約6億円上回る。寄付額が最も多い伊達市は基幹産業である農業への支援金が集まり、大樹町では町が重点を置く宇宙関連施策に集中した。道の担当者は、財源確保に加え企業とのつながりが持てる点を効果に挙げ、制度の継続を期待する。
16年度に開始した。企業は自治体の地方創生に関する取り組みを寄付で応援すると、税制優遇措置を受けられる。寄付額は1回当たり10万円以上で、本社が所在する自治体への寄付は対象外となる。
内閣府がまとめた実績を見ると、適用期限延長や税の軽減効果拡充など20年度の税制改正で寄付件数・寄付金額は急増。右肩上がりに上昇し、24年度の寄付額は前年度比34%増の631億4000万円、寄付件数は31・6%増の1万8457件といずれも最多を更新した。
道内では、16年度の寄付件数は27件にとどまったが、制度の普及や地方創生への関心の高まり、税制改正の影響などで、20年度に寄付件数262件、寄付額15億7750万円を達成した。
22年度は寄付件数1091件、寄付額49億4600万円で、23年度は寄付額が39億円に減少する一方で件数は1334件に上昇。24年度は1792件となり、寄付額も45億790万円と40億円台に転じた。
24年度に最も寄付額が多かったのは伊達市の6億9430万円。基幹産業の農業やゼロカーボンに関する施策などに支援があった。市担当者は「貴重な財源。総合戦略に掲げる事業に賛同する企業と一緒にまちづくりに取り組めれば」と受け止めている。
東川町が3億3895万円で続いた。寄付の半分近くを占めるのがホクリク(本社・東京)で、24年度は1億6000万円を支援し、返済不要の奨学金に充てている。
町の担当者は「社長が町内の顧問宅を来訪した際、まちづくりに対する考えに共感し町を気に入ってくれ、21年度から寄付を開始した」と、制度の効果を実感する。
3番目は大樹町だった。寄付額2億6116万8200円のうち、まち・ひと・しごと創生推進計画関連が666万8200円、宇宙関連産業集積に対しては2億5450万円と期待度や注目度の高さがうかがえる。
宇宙関連への寄付は20年度から開始し、24年度は62社が支援した。町の担当者は「引き続きPRしたい」と話している。
道内をはじめ全国的に多くの自治体が制度を活用する。道の担当者は「寄付をきっかけに企業と関わり、別の取り組みに発展することもある」と財源確保にとどまらない効果があると指摘。「道庁としても市町村の取り組みを発信し、道全体としてつながりを持てるようにしたい」と話す。
25年度税制改正で、制度の期限が24年度末から27年度末となった。全国の自治体からの要望を踏まえたものだが「その後も制度として残ってほしい」と期待を寄せる。