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建設経済新聞社
2025/10/20

【京都/滋賀】和歌山で令和7年度近畿ブロック会議 予算確保や受注機会の拡大等で要望

 令和7年度近畿ブロック会議が16日、和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で開催。近畿建設業団体協議会は、国土交通省に対し、公共事業予算の安定的かつ継続的な確保と国土強靭化の更なる推進、地域建設企業の受注機会の拡大、入札・契約制度などについて要望した。
 近畿ブロック会議には、国土交通省から藤田昌邦大臣官房審議官(不動産・建設経済)、小林賢太郎大臣官房技術審議官ら、国土交通省近畿地方整備局から佐藤忠晴副局長らが出席した。
 一般社団法人全国建設業協会から今井雅則会長ら、一般社団法人和歌山県建設業協会から中井賢次会長ら、一般社団法人滋賀県建設業協会から奥田克実会長ら、一般社団法人京都府建設業協会から小ア学会長らが出席した。
 近畿建設業団体協議会幹事協会としての挨拶で和歌山県建設業協会の中井会長は「人口減少の脆弱な経済においては、建設業が牽引役となり、もっと元気にならないと地方の活性化につながりません。大規模災害に備え、人命を守るためにも引き続き公共事業予算、事業量の確保にご協力をお願いします。また昨今の少子化による人材不足の中、建設産業における担い手の確保・育成も大きな課題となっています。そのためにも我々としても建設業者が安定的な経営を維持できるよう、事業量の確保を図ることを最優先課題としなければなりません。地域の担い手となる次世代の人材確保に向け、働き方改革などの課題について、本日の行政機関との意見交換会を通じて要望・提言活動を継続して行っていきたい」などと述べ、忌憚のない意見交換を呼びかけた。
 国交省の藤田審議官は「皆さんとの意見交換により、地域の建設業が抱える課題や問題意識の共有、これまで進めてきた様々な取組の効果、方法を見つめ直すことができる大変貴重な機会」、小林審議官は「建設業を支えている皆様から地域の実情を聴き、課題の解決に向けて一緒に前進できればと思います」、近畿地整の佐藤副局長は「建設業が持続的に発展し、魅力ある産業としていくために、本日ご提案いただいた諸課題はどれも重要なテーマだと思っています。忌憚のない意見交換を通じて、課題解決に向けて官民一体となって前進することができることを祈念します」などと述べた。
 今井全建会長は「国交省と全建の共催による地域懇談会と地方ブロック会議は、ここが2ヵ所目となります。これらの会議は地域建設業が直面する諸課題について官民が問題意識を共有し、双方が解決に向けた具体的な取組を進めていくという趣旨で開催しており、全建としても大変重要な会議と位置付けています。諸課題解決に向け、ご当局、関係者の皆様へ働きかけを行い、実現を目指していかなければなりません。本日は諸課題について、忌憚のないご意見を皆様方に積極的にご発言いただき、有意義な会議にしたい」と述べた。
 提案議題1は公共事業予算の安定的かつ継続的な確保と国土強靭化の更なる推進、提案議題2は地域建設企業の受注機会の拡大、提案議題3は熱中症対策の充実、提案議題4は入札・契約制度(@低入札価格調査基準及び最低制限価格の設定A入札参加申請から落札者決定までの期間短縮)、提案議題5は設計・積算・工事施工(@設計図書の精度向上A円滑な工事施工のための事前準備B円滑な施工を図るための受発注者の対応)、提案議題6は担い手確保と働き方改革の推進(@現場技術者を支援する職員の配置促進への支援A週休2日制の運用Bi−Constructionの推進への支援)。
 国交省らは「社会資本の整備は、経済・社会を支えるものであるとともに、災害時において被害を最小限に抑えるためにも極めて重要。そのインフラの担い手であり、災害時には真っ先に現場に駆けつけて、地域の守り手として対応していただいている建設業者の皆様は、地域にとって不可欠の存在。適切な予算の確保は、極めて重要であると考えています」「国交省としては必要十分な公共事業予算が継続的、安定的に確保されますよう、また防災・減災、国土強靭化がしっかり進むよう、予算確保を進めていきたい」「多くの企業に受注機会を提供できるように、直轄工事においては技術者の実績評価を緩和した自治体実績評価タイプや地域密着防災担い手タイプ等の試行方式を活用しているが、地域の実情、評点の仕方など、多くの指摘を意見交換会の中でいただいている。指摘を踏まえながら、運用について丁寧に考えていきたい。また、受注制限については、配置予定技術者を1名のみとすることで最初に1つの工事を落札した時点で他工事に参加できなくなる一括審査方式を活用しているが、発注ボリュームが出てこないと、この形でやってるボリュームが少ないと指摘を受けている。予算獲得に向けて引き続きご協力いただければと思っています。地域の実情を踏まえて発注できるように努力していきたい」「熱中症対策にかかる費用については、経口補水液や空調服の対応費用を現場管理費に補正する形で計上しています。ミストファン等の設備費用も現場環境改善費の積み上げということで今年からやっています」「地域の実情は違うので、働き方改革を週休2日も含めてやっていきたい、支援していきたい」「自治体、民間問わずに、適切な工期が設定されるように取り組んでいきたい」「公共事業を受注した場合には適切な利潤が確保されて、そういったものが建設業の担い手の育成・確保につながっていく。ダンピング対策を徹底していくことは極めて重要だと考えている」「国土交通省の直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドラインの手続きフローの標準的日数に基づいて、可能な限り短縮を図りながら設定している。落札決定が間違ってはならないので、審査をどう適切にやっていくかを考えながら対応を検討していきたい」などと回答した。
 業界側からは、発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン、建設副産物の活用などについて意見があった。