滋賀県農政水産部耕地課は、第2大中の湖地区において、老朽化による排水路の更新整備に乗り出す。今年度より2029年度(令和11年度)までの5ヵ年計画で、県営かんがい排水事業(矢板護岸工〔約2q〕等)を進める。総事業費は10億3200万円を見込む。
計画では、同地区(近江八幡市〜東近江市)の『大幹線排水路』のうち、既設利用区間を除く南側の部分(近江八幡市安土町大中)について改修する。概要は▽矢板護岸工=対象区間L1332b(両岸L630b、片岸L702b〔施工範囲L1962b〕)、護岸高2・4b、ハット型鋼矢板SP―10、矢板長7・5b▽合流工(放流工)=N17ヵ所―。
所管の県東近江農業農村振興事務所田園振興課では、初段の実施設計業務の受注者を、10月27日開札予定の事後審査型一般競争入札で選定する。落札決定は10月30日の予定。委託期間は契約締結日より5日以内の日から来年5月29日まで。なお関連業務として、測量業務、土質調査業務の発注を予定している。
県下最大の干拓地である第2大中の湖地区は、国営琵琶湖干拓建設事業大中の湖地区(1946〜67年〔昭和21〜42年〕)により整備された。水稲を中心に県内有数の大規模農業が行われており、また露地・施設栽培による園芸作物も盛んに取り組まれ、県内の野菜の主産地となっている。
地区の排水機能を担っている大幹線排水路は整備以後、県営ため池等整備事業(79〜85年〔昭和54〜60年〕)により護岸の更新が行われている。その後、一部区間は国営施設応急対策事業(2015〜19年〔平成27〜31年〕)により改築されているが、今回の事業対象区間の水路は老朽化が著しく、矢板の損傷、漏水、吸出し、洗堀等が顕著に確認され、水管理や維持管理に多大な労力を費やしている。
このため、水利施設等保全高度化事業(水利施設整備事業)として、老朽化した排水路の更新整備を行うことで、維持管理労力の低減と、農業生産性の向上を図ることにより、地域の豊かで競争力ある農業の実現に資するとしている。
提供:滋賀産業新聞