さいたま市は中央区役所周辺の公共施設再編事業に関する新たな実施方針を公表した。6月に入札手続きの中止を公表しており、事業者選定を仕切り直して2027年6月の契約締結を目指す。事業手法をDBOとする考えや対象施設などは変えず、事業費増額や工期の延長などで対応する方針。まずは要求種準書案に関する意見を募り、26年2月議会の補正予算で債務負担行為を設定することを目標とした。
中央区役所周辺の公共施設を解体して、必要機能を集約した複合施設および駐車場などの外構を整備する計画。その後の維持管理や運営なども一体的に委託する方向だ。
必要機能と再編対象施設は▽区役所機能=中央区役所(本館・別館)▽公民館機能=下落合公民館▽図書館機能=与野図書館▽産業文化センター機能=産業文化センター▽児童センター機能=向原児童センター▽老人福祉センター機能=いこい荘▽プール機能=下落合プール――で、さらにカフェ、エントランスホール、中央区民広場、駐車場・駐輪場を設ける。
16日のまちづくり委員会では、事業者再選定に向けた方針を説明した。それによると、過去の選定時には利便施設(コンビニ)導入を想定していたが、採算性を運営事業者が確保できない可能性があり新たな要求水準書案では該当施設を削除。施設の想定面積も当初の「2万680u」からコンビニ、入札室1室、共用部などを削減した「2万u」とする見通しだ。
26年3月下旬の入札公告(総合評価一般競争入札・WTO対象案件)、11月中旬の提案書受付・開札といった流れを目指す。8施設の複合化は全国的にも稀な事例で、当初から提案書の提出期間を2カ月ほど延長。基本協定締結から仮契約までの期間も長く設けて、27年2月の落札者決定・3月の基本契約締結、4月中旬に仮契約を結ぶ工程をイメージしている。
27年6月をめどに本契約を締結した後、約8年6カ月を設計・建設・解体期間に充て「35年12月まで」に完工するよう目標を再設定した。8施設を複合化する施工計画には多くの協議・調整が必要とみたほか、働き方改革などへの対応として、当初より1年程度は建設期間に余裕を持たせた。
再公告した際の想定事業費については精査中だが、まちづくり委員会の開催段階では当初の314億円に対して「約80%の上昇を見込む必要がある」と報告している。
まずは官民対話などを通じて参加希望者との相互理解を深める。26年2月定例会で特定事業の選定や入札説明書などの案を報告し、補正予算に債務負担行為を設定。27年6月議会後の本契約を最短の工程に据える。
提供:埼玉建設新聞