全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の2025年度近畿ブロック会議として、近畿建設業団体協議会と国土交通省との意見交換会が10月16日に和歌山市内で開かれた。2府5県の協会長らが集まり、公共事業予算の確保と国土強靱化の着実な推進、地域建設企業の受注機会の拡大、入札契約制度の改善などを求めた。また、近年の地球温暖化の影響による猛暑日の増加などを踏まえ、抜本的な働き方の見直しも要望した。
会議の冒頭、近畿建設業団体協議会の幹事協会である和歌山建設業協会の中井賢次会長は頻発する自然災害について触れ、「建設業の使命である地域の守り手としての役割を果たすためには、経営基盤の強化、経営の安定化が不可欠」とし、人件費や資機材の高騰を考慮した公共事業予算と事業量の確保を求めた。担い手の確保に向けては「働き方改革などの課題について意見交換を通じて要望、提言活動を継続していく」として協力を求めた。
全建の今井会長は「建設産業存続の危機感を持ち、担い手確保の問題やICT、DXを主体とした生産性向上に取り組み、若者が憧れる魅力ある産業を目指す」と述べた。
ブロック会議では、@公共事業予算の安定的かつ継続的な確保と国土強靱化の着実な推進A地域建設企業の受注機会の拡大B熱中症対策の充実C入札・契約制度D設計・積算・工事施工E担い手確保と働き方改革の推進―の六つの議題を協議会が提案し、意見を交換した。
議事では、協議会が公共事業予算の確保を求め、これに対し国交省は「26年度の予算編成では国民の安全・安心の確保、経済成長、地域づくりの3本柱を掲げて必要な予算の確保に取り組んでいる」との姿勢を示した。また、地域建設企業の受注機会の拡大について協議会は、工事や地域の特性に応じた発注ロットの設定、ランクや地域性を考慮した発注方法などの検討を求めた。これに対して国交省は、「自治体実績評価タイプなどを活用している。指摘を踏まえながら運用について検討していく」と前向きに取り組む姿勢を示した。
あいさつの中で国交省の藤田昌邦大臣官房審議官(不動産・建設経済)は、担い手の確保に向けた取り組みとして「技能者の処遇改善に向けては、改正建設業法に基づく適正な労務費の確保と、その行きわたりがポイント。中央建設業審議会のワーキンググループでは労務費の基準の作成や実効性の確保について検討している。改正法による新たな仕組みが関係者間で順守され、新しい商習慣として根付くよう力を尽くす」との姿勢を示した。
また、小林賢太郎大臣官房技術審議官は、若者から選ばれる産業としていくため他産業と遜色ない労働環境、働き方の実現を目指すとした他、「人口減少下であっても社会経済活動に不可欠な建設サービスを提供するため@―Construction2・0に取り組んでいる。オートメーション化により建設現場の3割の省人化、1・5倍の生産性向上を目指していく」と述べた。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社