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日本工業経済新聞社(埼玉)
2025/10/24

【埼玉】北本市、歴史的文化保存へ計画策定

 北本市は2026〜36年度を計画期間とする「文化財保存活用地域計画」で、市の歴史的な文化や自然環境を保全するための方針を打ち出す。国指定史跡となったデーノタメ遺跡のガイダンス施設整備や、文化財を保管するための適切な保存施設などを整備していく考えだ。計画案に関する意見を募り、本年度内に計画をまとめる見通し。
 同計画では市内にある個々の文化財を保存活用するだけでなく、環境や風土も一体的なものとして保全する考えを打ち出す。歴史文化の調査・継承・発信・活用という4つの方向性を軸に必要な取組を進める見通しだ。
 同計画における建設関係の事例では、指定文化財を含む収蔵施設の保存環境が不十分な点などに課題があるとみている。市内に博物館や資料館に類する施設が未整備なため文化財について学べる場所がなく、指定文化財を含む市の収蔵資料保存環境も一部に不十分な点があるとみている。
 具体的な文化財関連施設整備に関しては▽旧栄保育所に移転した郷土資料室の機能強化▽国指定史跡「デーノタメ遺跡」の史跡公園・ガイダンス施設整備▽東光寺に所在する「板石塔婆」群のガイダンス機能を有する収蔵施設改修――などを挙げた。また、歴史的建造物などの保存と幅広い活用についても検討を進める考えを示している。
 デーノタメ遺跡については24年10月に国指定史跡となっており、今後は速やかに保存活用計画を策定する見通し。遺跡隣接地に史跡の魅力を高め集客を図るガイダンス施設を整備する計画で、さらに「(仮称)デーノタメ縄文の杜公園」なども整備を進める必要があるとしている。
 石戸宿エリアには石戸城、江戸初期に徳川家康が休息した御茶屋などを群とする歴史文化がみられる。こうした文化保存活用に向けて「石戸蒲ザクラ保存活用計画策定」「老朽化した板石塔婆収蔵庫改修」「石戸城跡地整備計画の推進」なども進める考えで、特に石戸蒲ザクラの保存は重点事業に据えている。
 防災・防犯上の観点では、文化財を安全に保管する施設や設備の新設を重点事業に設定。既存保管施設の耐震診断や防災設備設置促進。防犯カメラなどの設備整備も着実に進める考えを打ち出した。
 市は本年度内に総合振興計画、都市計画マスタープラン、環境基本計画などを改定する予定となっており、こうした計画とも連携しながら文化財保存活用地域計画をまとめていく。

提供:埼玉建設新聞