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建設経済新聞社
2025/10/24

【京都】洛南浄化センターの乾燥汚泥の肥料化 冷却設備追加など機能増強

 京都府は、木津川流域下水道洛南浄化センターの乾燥汚泥の肥料化について、肥料の品質と供給量の安定化を目的に、冷却設備追加など設備の増強に取り組む。
 府は、肥料利用の拡大に向け、乾燥汚泥の肥料製品化に取り組んでおり、令和6年12月には新たな公定規格である「菌体りん酸肥料」に近畿地方で初めて登録された。
 下水汚泥の肥料利用の拡大を巡っては、9月議会の一般質問でも質疑があり、京都府の石井宏明建設交通部長は「これまで年間約6万t発生する汚泥について、廃棄物処理するのではなく、資源として有効利用を図るため、平成17年からは消化ガス発電、平成29年からは固形燃料化を開始し、肥料利用については昨年から取り組んできた。日々発生する汚泥を安定的に処理できるよう、4つの浄化センターごとに複数の方法を組み合わせながら、継続的に資源化に取り組んでおり、現在、京都府が管理する流域下水道全体の汚泥のリサイクル率は約80%に至っている」「令和4年に策定された食料安全保障強化政策大綱において『2030(令和12)年までに下水汚泥資源・堆肥の肥料利用量を倍増し、肥料の使用量に占める国内資源の利用割合を40%まで拡大』との目標が示されるなど、近年の肥料原料の国際価格の高騰なども背景に、汚泥の肥料利用の拡大は重要性が増していると認識している」と述べ、菌体りん酸肥料として近畿地方で初めて登録されたことにも触れ、「菌体りん酸肥料への登録は、肥料成分や品質管理が徹底されていることの証明になるが、今後この製品の流通・販売を拡大していくためには、汚泥由来肥料の有用性と安全性への府民の理解の醸成、流通経路の確保、汚泥由来肥料を安定的に生産できる施設の整備などに取り組んでいく必要がある。府民の理解の醸成や流通経路の確保に関しては、汚泥由来肥料の成分分析等を継続的に実施することや、肥料の製造・販売の関係者と連携し、肥料利用者へ分析結果を説明するなど、肥料の安全性、有用性のPR方法を工夫していきたいと考えている」「今後の汚泥由来肥料のニーズの拡大に応じた生産能力の確保に関しては、原則、利用者負担で運営される下水道事業としての採算性などの観点も含めて、必要な設備整備についての検討を行っていく」などと考えを述べた。
 洛南浄化センター(八幡市八幡焼木)においては、上水道を活用した冷却設備の設置、脱水機から乾燥機棟への汚泥輸送ルートの二条化、乾燥機冷却用水(井水ルート)ポンプ設備の監視制御盤の更新などを計画。
 流域下水道事務所は10月21日、洛南浄化センター汚泥肥料化促進検討業務について指名競争入札で通知。10月31日に開札し、担当業者を決める。主な業務内容は、現地調査一式、肥料冷却設備詳細設計一式、移送設備機能増強詳細設計一式、乾燥機冷却用水設備詳細設計一式。履行期間は300日間。