神奈川県は、国土交通省から要請があった下水道管の全国特別重点調査に基づき、緊急度の高い箇所の補修に向けた設計、工事を順次進める。管路が腐食しやすい箇所など優先実施箇所となる延長約10`の調査が夏までに完了。原則1年以内に対策を要する箇所が約1・6`あったことを明らかにしている。表面の腐食やひび割れがある箇所の充填工法、更生工法による補修を想定する。来年夏ごろまでの完了を目指して設計、工事を発注する予定だが、具体的なスケジュールは検討中としている。
全国特別重点調査は、国土交通省が埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて地方公共団体に実施を要請。設置から30年以上が経過した内径2b以上の下水道管を対象とする。県が管理する下水管のうち、相模川流域は平塚幹線と右岸幹線、左岸幹線、茅ケ崎幹線、座間海老名幹線の延長57・4`。酒匂川流域は右岸幹線と左岸幹線、連絡幹線の延長3・1`が対象となる。
埼玉県八潮市の現場と構造や地盤が類似している箇所、管路が腐食しやすい箇所などは優先実施箇所として夏ごろまでに調査を終えた。対象は相模原流域が延長9・1`、酒匂川流域が延長0・8`。鉄筋の露出など直ちに大規模な陥没につながる破損などはなかったが、一部で表面の腐食やひび割れなどを確認した。原則1年以内に対策を実施する必要がある箇所(緊急度T)は延長約1・6`、5年以内に対策を実施すべき箇所(緊急度U)は延長約0・8`あった。
管路の補修方法としては腐食が発生している箇所は更生工法、ひび割れがあった箇所は充填工法などを想定する。緊急度Tは必要な予算を確保し、来年夏ごろまでの完了を目指して設計、工事を発注する。緊急度Uは今後5年以内に、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく予算を活用しながら対策を進めるとしている。
本年度は引き続き優先実施箇所以外の調査を実施するとともに、緊急度T・Uの箇所で貫入試験(サウンディング調査)による空洞調査を行う。
提供:建通新聞社