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滋賀産業新聞
2025/10/28

【滋賀】野洲市 さざなみホール活用の改修計画策定へ

 野洲市は、昨年末に閉館した文化施設「さざなみホール」の新たな活用方法について、市民意見を募る懇談会を開催した。特定の用途ではなく、様々なことに活用でき、幅広い年代が楽しめるような魅力ある建物が考えられており、今後も市民との対話を踏まえ、施設の機能や運営手法等について検討を進め、既存施設の改修に向けた計画を策定していきたいとしている。
 さざなみホール(野洲市比留田3313―3)は1992年(平成4年)建築。施設規模はRC造3階建、延3477・2平方b。500人収容の音楽ホールと会議室等の市民活動施設で構成。轄武紀章建築都市設計事務所(東京都千代田区)が設計した。近年、空調設備が頻繁に故障し、夏季・冬季において快適に利用できない状況となっていたことから、昨年12月27日に閉館。ホール機能を廃止した。
 市内の文化3施設(野洲文化ホール・野洲文化小劇場・さざなみホール)を、野洲文化ホール(野洲市小篠原2142)の1施設に集約化する方針に基づき、旧さざなみホールについては解体工事を予定していたが、「まちのシンボルである、高名な建築家・黒川紀章デザインの建物を無くすのは惜しい」「屋外ではなく雨の日でも利用できる屋内子育て施設が欲しい」などの市民の声を聞く中で、昨年10月に就任した市長の「外観を残したまま違った活用ができるのではないか…」という想いから方針を見直し、建物は解体せず改修(リノベーション)して、用途変更により利活用を図ることになった。
 市では、地方公共団体が抱える公共施設等の課題(ニーズ)を、民間事業者が有するノウハウや技術を活用した新たな事業手法(シーズ)により解決することを目指す、国土交通省の「2025年度(令和7年度)民間提案型官民連携モデリング事業」の募集(1月10日〜2月5日)に、『旧さざなみホールを活用した地域活性化拠点整備』をニーズとして提案。民間の創意工夫を最大限に生かせるPPP/PFI手法により、旧「さざなみホール」の建物と敷地を活用し、地域住民が集い、エリアの価値向上に繋がる地域の拠点を創設し、地域コミュニティの活性化、近隣住民の地域への誇りや愛着の醸成を図りたいとした。
 このニーズの解決を目指す民間事業者からの新たな官民連携手法(シーズ)の募集(2月7日〜28日)では、渇恆コ組(大阪市阿倍野区)がマッチング。同社は、遊休施設(旧さざなみホール)を若いアーティストの活動発信拠点としての改修、市内の空き家をリノベーションし、アーティスト・イン・レジデンスとすることで、アーティストを招へい。レジデンスに参加するアーティストには地域の高齢者が住む住居への訪問、見守りを義務付けし、地域コミュニティの活性化を担う利活用プロジェクトを提案した。

 野洲市・今年度第1回市民懇談会(「さざなみホールの新たな活用方法について」ワークショップ〔8月24日開催〕)の結果概要は次の通り(一部抜粋)。

◆地元(地域)住民の利用が見込まれるアイデア
 【スポーツ】
▽スポーツジムやスポーツ施設(ランニング、ロッククライム等)

 【子ども向け】
▽図書館などの子どもたちが勉学に励める場所づくり
▽屋内外への子ども向け遊具設置

 【高齢者向け】
▽高齢者が集まれ交流できる場所づくり

 【商業施設】
▽レストランやカフェ等の飲食関係施設
▽スーパーマーケットやコンビニ
▽入浴施設、キャンプスペース、映画鑑賞

 【イベント関係】
▽音楽の練習や発表できる場
▽地域のお祭りや展示開催
▽絵画教室や音楽レッスン教室等の各種教室の開催

 【フリースペース】
▽店舗等に活用できるよう部屋の貸出
▽屋根付きベンチ等の配置

◆市外在住者の利用が見込まれるアイデア
 【施設活用】
▽美術館、博物館、科学館等の文化的施設
▽道の駅や物産販売所(農産物、市内名産品等)
▽日帰り温浴施設や屋外サウナ施設
▽小さなテーマパーク(お化け屋敷やミラーハウス等)

 【その他】
▽団体での合宿所利用やプラネタリウム等の癒し空間
▽フリーマーケットやマルシェが開催できるイベントスペース
▽農業と工業の連携施設、企業誘致での活用

◆その他の意見
▽ドクターヘリ拠点などの防災面での活用
▽駐車場を活かしたサイクリング中継拠点

提供:滋賀産業新聞