熊谷市は、複数の公共施設や設備に対する点検、修繕など様々な業務委託を一括にまとめて契約する「公共施設包括管理業務委託」の導入に向けて検討を進めている。施設の効率的な維持管理を進め、公民連携による質の高いサービスを提供するための仕組み。同市では、まずは公民館など120施設超での導入を計画する。このたびサウンディング型市場調査を実施し、その結果がまとまり、公表した。
調査は、同市において包括管理業務委託の市場性の有無や、委託対象となる業務範囲、効果などについて調査、検討を行い、導入の判断に役立てることが目的。
業務委託の対象とする施設は「同様の施設や設備が多数あり、スケールメリットが出る」(熊谷市施設マネジメント課)ものに限った。
具体的には、福祉部保育課が所管する児童クラブなど52施設や、教育委員会教育総務課が所管する小中学校41施設。また、中央公民館が所管する公民館など20施設のほか、妻沼中央公民館が所管する公民館など9施設で、全体で合計122施設に及ぶ。
2023年度決算をベースにすると対象施設全体で維持管理業務に約1億4000万円、修繕業務に約1億円かかったと算定されるという。包括管理業務となれば、この費用にマネジメント経費を上乗せした契約額になることが見込まれる。
調査は8月下旬に実施要領を公表。公共施設の包括管理の提案に意欲がある事業者やそのグループを対象に募集。申し込みがあった県内外のコンサルタントやメンテナンス事業者など5社に対し、9月下旬から10月初旬にかけてヒアリングを行った。
公表された調査結果によると、事業者選定に参加する「意向がある」と回答したのは4社。残る1社は「検討中」と回答した。
メリットやデメリットについては、「一括発注などにより市職員の人件費の大幅な削減ができる」「民間の蓄積したデータや委託の集約によるスケールメリットによって効率的な維持管理、適正価格での発注が可能になる」などと指摘する声があった。
また、「巡回点検の際に簡単な補修はその場で対応するほか、その後の修繕の必要性についてもプロの目で判断ができる」とし「効果的かつ効率的な維持管理につながる」との意見も。さらに、「予防保全的な対応が可能となり、劣化の抑制や施設の長寿命化が図られる」「長期的な視点に立ち、施設・設備の計画的な修繕対応が可能となる」とする見方もあった。
導入に向けての課題としては、「マネジメント経費が生じるため、トータルコストが増加する」との意見や、「施設所管課職員の管理意識の希薄化が懸念される」との危惧もあった。
熊谷市の調べでは、同様の仕組みについて、県内の40市で導入したのは鴻巣市を皮切りに、ふじみ野市、和光市、東松山市の4市。導入に向け準備中なのが草加市だったという。
熊谷市で、この仕組みの導入が決まれば、公募型プロポーザル競争での事業者選定の実施に移ることになる。
熊谷市施設マネジメント課は「サウンディング型市場調査では、市場性が見込める結果となった」と評価したうえで、「今後、市として公募型プロポーザル方式を実施していく方向性で検討を進めたい」としている。
提供:埼玉建設新聞