金沢市における旧菓子文化会館等再整備基本構想検討懇話会(宮下智裕座長)の第3回会議が12日、市役所第二本庁舎で開かれ、再整備基本構想(案)をまとめた。年内にも宮下座長から村山卓市長への報告が行われる。
基本理念は「木の文化都市・金沢を象徴し、泉鏡花を育んだまちへと誘う文化交流拠点」とし、整備の方向性として▽体験(泉鏡花にちなんだ朗読会や演劇のほか、鏡花を育んだ町人文化に触れる体験などを通じて理解を深める)▽交流(地元住民や来街者、若い世代などの交流を生み出し、賑わいを創出する)▽発信(木の文化の魅力を発信する。鏡花の文芸作品や業績、周辺の歴史文化を発信し、回遊性を高める)▽収蔵(収蔵品を適切に保存する)−を示すとともに、この4つの機能に繋がりを持たせることで、来館者の新たな発見や交流を誘発し、相乗効果を生み出していく。
また、ハード(空間)例には小劇場、実演・ワークショップスペース、イベントスペース、木の魅力を感じられる多目的室や休憩スペース、常設・企画展示室、眺望スペース、収蔵庫などが盛り込まれ、今後の検討課題としては▽木の文化都市・金沢を象徴する建築物としての意匠・素材を検討▽まちなみとの調和に配慮した、建物のボリューム・配置を検討▽老朽化が進む泉鏡花記念館の利活用の可能性を検討−などを挙げた。
既設の旧菓子文化会館(尾張町2丁目)、隣接する泉鏡花記念館(下新町)は、ともに老朽化が進む。両施設の再整備にあたり、市では各年代の建築物が数多く立地する尾張町界隈のまちなみの魅力を高める、「木の文化都市・金沢」を象徴する建築物を整備方針で、来年度から基本計画の策定に取り掛かる。