堺市の建設工事における2024年度の平均落札率は89・05%だった。ただ、25年度は入札契約制度を見直したことにより平均落札率が高くなっているという変化も表れている。堺市議会において、落札率の向上と建設会社の適正な利益の確保を訴えてきた伊豆丸精二議員に、制度改正の狙いや成果、第2フェーズで検討すべきことを聞いた。
―堺市が2025年度に入札契約制度を見直した。制度改正に至った経緯を教えてほしい。
「堺市は全政令市の中で平均落札率が最も低いとされている。この落札率を高くして、地元企業に適正な利益を得てもらうことを目的に、市議会において入札契約制度の見直しを働きかけてきた。今回の見直しでは、低入札価格調査制度の対象工事について基準額を1億1000万円から1億5000万円に引き上げ、原則総合評価方式で発注する」
「さらに調査基準価格未満の応札に対し、評価値を漸減させる仕組みに変更した。これまでは入札金額が低いほど評価値が高かったが、見直しにより調査基準価格を下回る場合は入札金額が低いほど評価値も低くなる」
「低入札価格調査対象工事の平均落札率は昨年度83・8%だったが、本年度は総合評価方式を適用したことで、9月末までに契約締結した対象工事17件の平均落札率が93・06%になっている」
―制度の改正に伴い、問題は生じているか。
「総合評価方式では、過去5年間の施工実績を評価しており、実績がない会社は加点されないため落札するのが難しい。ダンピングを防ぎ、地域建設業の維持・成長につなげてもらうのを目的に見直しを行ったが、実績のない企業が新規参入できない状況は産業育成の観点からどうなのかという声も聞かれる。この課題は第2フェーズで検討していく」
「低入札価格調査を厳格に行っており、第1順位の調査に約3週間かかっている。仮に第3順位まで調査が必要になれば、落札決定まで1カ月以上かかることになり、その期間は応札者も技術者を他の現場に配置することができない。役所も企業も負担が生じているが、職員の経験値を上げながら調査期間の短縮を図っていきたい」
―評価値の算出方法を10月に見直している。
「一見すると同じ評価値でも、実際には小数点第4位以下で差が生じている場合があり、その差がシステム上に表示されず、最も評価値の高い企業が落札できなかったという事象が起きた。これを受け評価値の算出方法を見直し、小数点第4位以下を切り捨てることなく割り出して、評価値の最も高い企業がちゃんと落札できるようにした。11月4日公告分から適用している」
―今回の制度改正を受け、建設会社はどのようなことを意識していくべきか。
「制度改正の大きな目的である落札率の向上と適正な利益の確保は、市内の業界団体が求めてきたことでもあり、上半期の入札結果を見ても一定の成果が出ている。1年間の結果を見て、応札者に偏りがないかなどを確認していくが、建設会社も積算力を上げたり、市内の下請け業者を育成したりして、企業努力を怠らないようにしてほしい」
(大阪支局=新田佑優)
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社