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建設経済新聞社
2025/11/26

【京都】流域下水道事業経営戦略・最終案 宇治田原町公共下水道の木津川流域下水道編入など 令和8年1月頃に京都府に答申

 「京都府流域下水道事業経営戦略」中間見直し(最終案)を検討してきた流域下水道事業経営審議会は、令和8年1月頃に京都府に答申する予定。
 11月25日開催の流域下水道事業経営審に最終案を報告した。
 主な内容をみると、施設の老朽化について「平成12年度から改築更新工事に本格着手しているが、令和2年度時点で目標耐用年数を超過した施設が4流域合計で全体の24%、標準耐用年数を超過した施設も合わせると全体の55%となるなど、老朽化対策が喫緊の課題となっている。特に標準耐用年数が短い機械・電気設備の老朽化が深刻であり、適切な維持管理と計画的な設備の更新が必要」「管路の老朽化対策は、令和7年1月に埼玉県八潮市で下水道管路の破損に起因すると考えられる大規模な道路陥没による事故が発生したこともあり、全国的な課題となっている。京都府流域下水道においても、管路全長約103q(汚水)のうち、令和7年度現在で標準耐用年数(50年)を超えるものはないが、10年後には約31qとなる見込みであり、管路の破損が大規模な陥没事故など重大な事態を引き起こしかねないことから、適切な保守点検により管路の状態を維持把握し計画的に更新することが必要」とした。
 また、激甚化する災害への対応として耐震化や耐水化が喫緊の課題となっているとし、「災害時においても従前どおり水の使用を可能とするためには、水道と下水道の両方の機能を確保することが重要であり、避難所等の重要施設に接続する上下水道管路の耐震化を計画的・重点的にに進める必要がある」とした。
 京都府では、南海トラフなどの巨大地震に備え、処理場や管渠の耐震化を進めている。各処理場においては簡易放流できる1ラインを概ね確保し、管渠においては幹線管渠約103qのうち約67q(約67%)の耐震化が完了するなど、下水処理場が最低限有すべき機能としての耐震化を進めてきた。
 令和7年度以降は、京都府上下水道耐震化計画(令和7年1月策定。計画期間は令和7〜11年度)に基づき、下水道システムの急所である、下水処理場(揚水・沈殿・消毒)、ポンプ場、管路の耐震化を進める。
 耐水化について、施設自体の嵩上げや防水扉の設置で処理場については概ね耐水化ができているが、中継ポンプ場などは一部対応できていない箇所があるため、今後耐水化を進めていく必要がある。
 下水道資源の有効利用では「今後は、施設改築に合わせてさらなる汚泥の有効活用に取り組んでいく必要がある」とした。汚泥の肥料利用は「令和6年12月に洛南浄化センターの乾燥汚泥を〈洛南エコガーデン〉として菌体りん酸肥料登録しており、現在、販路拡大に向けた取組を進めている」。
 民間事業者等の活用については、今後は、管理・更新一体型のウォーターPPPなど新たな手法の導入についても検討していく。
 主要事業をみると、[施設増設]として、木津川流域下水道では、広域化・共同化の取組として、隣接する宇治田原町公共下水道を木津川流域下水道に編入することとしており、令和8年度から事業着手し、新たな幹線管渠の整備を進めていくこととしている。
 木津川上流流域下水道は、関西文化学術研究都市等の開発によって流入汚水量の増加傾向が続いており、今後も産業立地等の新規開発による流入増加が見込まれることから、処理能力の逼迫が予想されるとし、これらの状況や水質基準の見直しも考慮の上、水処理施設7系の着手時期について、精査することとしている。
 [改築更新]として、現行経営戦略計画期間中の改築対象設備(令和7年度以降に改築予定の設備)は、桂川右岸流域が送風設備、汚泥濃縮施設等、木津川流域が受変電設備、消化ガス発電設備等、宮津湾流域がろ過設備、汚泥脱水設備等、木津川上流流域が消毒設備、汚泥濃縮設備等。
 耐震化について、京都府上下水道耐震化計画(令和7年1月策定。計画期間は令和7〜11年度)に基づき、急所となる下水道施設の耐震化を計画的・重点的に進める。計画期間中の実施目標として、処理場は「揚水・消毒施設は耐震化を完了。沈殿施設は処理量の多い処理場を優先して耐震化を推進」、ポンプ場は「中継ポンプ場の耐震化を完了」、管路は「市町村が計画期間中に管路の耐震性能確保を目指す重要施設より下流の耐震化を完了」。最終目標として「計画期間中に耐震化が完了しない沈殿施設および管路は、順次耐震化を実施し、令和26年度までに耐震化完了を目指す」。
 今後の予定として、桂川右岸流域下水道(洛西浄化センター)は「設備の改築更新に合わせ土木建築躯体の耐震化を実施、令和7年度以降はB系水処理施設や管路の耐震化を実施予定」、木津川流域下水道(洛南浄化センター)は「E1系増設に伴い関連施設の整備を実施し、耐震性能を有する施設を増設、令和7年度以降はB系水処理施設や管路の耐震化を実施予定」、宮津湾流域下水道(宮津湾浄化センター)は「令和7年度以降、管理棟の耐震化を引き続き実施し、中継ポンプ場や管路の耐震化を実施予定」、木津川上流流域下水道(木津川上流浄化センター)は「中継ポンプ場の耐震化を実施、令和7年度以降は揚水施設や消毒施設、管路の耐震化を実施予定」。
 耐水化は、淀川水系について公表されている1/150年規模の浸水を想定して現状の浸水リスクを確認して対応している。
 今後は、木津川流域下水道(洛南浄化センター)において、山城中継ポンプ場の耐水化計画を令和4年度に策定。施設の耐水化のための補強工事を令和8年度に実施予定。
 雨水対策として、桂川右岸流域下水道雨水対策事業について、全11ヵ所のうち7ヵ所の公共下水道接続施設及び呑龍ポンプ場が供用を開始しており、令和5年度末に8ヵ所目の公共下水道接続施設および調整池が供用し、地上にも雨水を貯留できるようになった。令和9年度末までに残る3ヵ所の公共下水道接続施設を整備することにより、事業の完成を目指す。
 広域化・共同化計画について、@宮津市のし尿受入(宮津市が整備するし尿処理施設から宮津湾浄化センターへ、し尿および浄化槽汚泥を希釈投入する取組を進める)A宇治田原町公共下水道の流域下水道への編入(宇治田原町公共下水道の木津川流域下水道への編入に向けた管渠等の整備を進める)B汚泥処理の広域化・共同化(まずは流域下水道間での連携により、消化・焼却などの減容化施設や固形燃料化などの資源化施設を有する浄化センターにおいて集約処理することについて、技術面、環境面、経済性、地域性、災害時リスク、経費分担などの諸課題を整理の上、実現可能性を検討。続いて、市町の公共下水道との連携についても調整を進める)。
 民間事業者等の活用について、令和6年度からウォーターPPPを含む公民連携手法のさらなる活用の検討を始めており、現状の整理、課題の抽出、導入効果の簡易な検討等、基礎的な調査が完了した。
 流域下水道で想定される取組として、▽老朽化施設の改築にあたり、DBO等による運転管理を含めた一体発注などの可能性を検討▽運転管理業務において、契約期間の長期化を検討するなどさらなる効率化を図る▽下水道資源やエネルギー(処理水・下水熱・消化ガスなど)の民間事業者による活用を推進▽運転管理業務委託に係る契約期間の長期化や受注者の裁量の拡大により施設状態の改善・向上、リスクの低減などが見込まれるため、ウォーターPPPを含む公民連携手法の導入について検討−を挙げた。
 令和8年度以降の必要投資額の見通しは、令和8年度78億5500万円(▽改築更新41億1300万円▽地震対策・耐水化16億8300万円▽施設増設8億4200万円▽雨水対策12億1700万円)、9年度83億0400万円(▽改築更新50億2900万円▽地震対策・耐水化7億2000万円▽施設増設13億7100万円▽雨水対策11億8400万円)、10年度82億3900万円(▽改築更新64億5500万円▽地震対策・耐水化9億2800万円▽施設増設8億5600万円▽雨水対策−)、11年度89億4400万円(▽改築更新74億8200万円▽地震対策・耐水化6億円▽施設増設8億6200万円▽雨水対策−)、12年度88億4500万円(▽改築更新66億8200万円▽地震対策・耐水化13億7200万円▽施設増設7億9100万円▽雨水対策−)。