静岡県東部の活性化に取り組む加和太建設(三島市)は、2025年6月に「沼津まちなか事業室」を設立した。現在、JR沼津駅南口での拠点整備事業と、駅付近に位置する中央公園の再整備プロジェクトが動いている。同事業室の柴崎研氏に、これまでの取り組みや事業への想いをインタビューした。
―「沼津まちなか事業室」設立の経緯は。
「老朽化した中央公園の再整備に向けた利用実証から始まった。これまで三島市の中心市街地で空き不動産の活用などをまちづくり事業として行ってきたが、『地元だからできた』で終わらせたくないという気持ちがあった。沼津市内にも目を向けると、地元の事業者らが地域再生に取り組んでいる。中でも、民泊の運営や狩野川の河川敷利活用を手掛けるlanescape(沼津市)は中央公園の再整備に向け、23年に市の実証実験に参画しており、当社も施工協力した」
「このつながりから、当社を代表、lanescapeらを構成企業とする共同企業体で、市の公募型プロポーザルで事業者選定を受けた。再整備された公園内に飲食店舗を整備し、運営する」
―沼津駅南口での施設整備について。
「ハード面だけでなくソフト面でも地域企業としてコミットしたいという想いがあった。中央公園内だけでにぎわいを完結させるのでなく、沼津駅前や中央公園が起点となって、にぎわいを市街地全体に波及させていきたいと考えた」
「UR都市機構(横浜市中区)が駅南口の西武百貨店跡地を所有しており、その活用事業にフィル・カンパニー(東京都中央区)を代表とする共同企業体の一員として加わった。店舗や広場などを備えた複合施設を整備し、運営する」
「沼津駅前では、常設の飲食店だけでなく、週末には物販や屋台など、来る度に違う景色や活動に遭遇できる場所にしたい。今年10月には、整備予定地にキッチンカーや仮設スタンドを配置し、来訪者にアンケートを取る実証実験を行った。このフィードバックを事業計画にも反映させるなど、地域住民も巻き込んだまちづくりを進める」
―二つの事業で目指すことは。
「地域住民をはじめ、観光客にとっても沼津市内の魅力を感じることができる場づくりを目指す。沼津の駅前市街地の魅力向上と回遊性向上に、沼津駅前と中央公園の2拠点の運営を通じて貢献したい」
―まちづくりで大事にしている視点は。
「沼津駅周辺は、かつて沼津城の堀を埋め立てて形成された。1954年に完成したアーケード名店街は、防火建築帯として日本初の『共同建築方式』で建てられるなど、先進的なまちづくりの歴史を持つ。これまでの地域の歩みや文化を尊重しながら、50年、100年後を見据えて価値を高めたい」
「沼津駅の高架化による南北の一体化や再開発など、多角的な動向を考慮しながら、新しいまちの“カルチャー”を育てるグランドデザインを描いていきたい。この取り組みが、地方建設会社が地域の価値を高めるモデルとして全国に普及することを願う」
(提供:褐囃ハ新聞社)