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北海道建設新聞社
2025/12/18

【北海道】暴風雪で道東大荒れ/工事現場は休止が相次ぐ

 発達した低気圧の影響で、本道は14日夜から15日にかけてオホーツクや釧路、十勝管内などを中心に大荒れの天気に見舞われた。湿った重い雪が吹き荒れ、各地が停電。建設業者は道路除雪に出動し、工事現場は休止が相次いだ。後発地震注意情報が発表中で、沿岸の自治体は地震や津波への警戒をしながら神経をすり減らした。16日も予断を許さない状況が続きそうだ。
 ■最大瞬間風速が観測史上1位
 24時間降雪量は、遠軽町白滝で72p、大樹町大樹で68pを記録。最大瞬間風速は、中標津町上標津で観測史上1位の40・5mに達するなど記録的な暴風雪となった。道路の通行止めはピーク時で国道12路線19区間、道道45路線52区間、高速道路・高規格道路12路線24区間に上った。
 網走市や北見市などオホーツク管内では気温が1度前後と高かった影響で湿った重い雪が降り、着雪による停電被害が続発した。15日午前9時時点で網走市は1650戸、北見市は400戸、斜里町は610戸が停電した。
 ■倒木や電線切断 除雪車入れず
 重い雪は除雪業者のスムーズな作業を阻む。網走市内の市道除雪を請け負う業者は「倒木や電線の切断が多く、除雪車が入れない区間が多数ある。15日午前3時から出動して昼近くになっても戻れないオペレーターもいた」と現場の混乱を明かす。道路環境の悪さも相まって燃費が悪化し、郊外路線の担当者は給油のたびに市街地へ戻るといった苦労もあった。
 北見市では、視界が効かないホワイトアウトになりやすい日中の時間帯を避けて午後8時−翌朝という出動態勢を取り、除雪業者は不眠不休で交通の維持に努めた。
 十勝管内では、国道除雪を担う宮田帯東(本社・帯広)の歩道除雪が普段よりさらに遅れた。宮田忠雄社長は「(休校した)学校の再開に向けて、児童や生徒のためにできるだけ急ぎたい」と使命を強調した。
 ■工期厳しくも安全配慮第一に
 建設現場にも影響が出た。記録的な大雪となった遠軽町内にある渡辺組は、十数カ所ある現場を全て休工し、現場内の除雪に追われた。追い込み期に入っているだけに、橋本祐一総務部次長は「今後も降り続くようだと工期が厳しくなりそうだ」と気をもむ。そうけん(本社・網走)も土木現場は除雪に切り替え、建築の現場は自宅待機とするなど、安全への配慮を余儀なくされた。
 ■地震・津波に真冬の悪天候
 太平洋沿岸の地域では、8日の青森県東方沖地震で津波警報が出ると避難する車両が渋滞を引き起こした。後発地震注意情報が16日まで継続する中、自治体には緊迫感が漂う。暴風で停電や建物被害が発生した日高管内のえりも町や様似町では、避難所に向かう町民に対し「地震の危険もあるから緊張感を持って」との声掛けを徹底。担当職員はいずれも町民の間に動揺はないとみるが、正しく危機感を持ってもらう必要性を吐露した。
 同じく太平洋側の釧根管内でも道路の通行止めが多発。根室市は通行止めが地震、津波からの避難の妨げになるとの予測から、避難所開設や自主避難の呼び掛けを検討した。すぐに規制解除になり実施には至らなかったが、地震・津波と真冬の悪天候による二重、三重の被害が現実のものとなる可能性が高まっている。
 気象庁によると、16日には北海道は気圧の谷の中に入るため、大気の状態が不安定となり、引き続き大荒れの天気になる見込みだ。安全確保のための現場休工や、円滑な除雪に向けた不要不急の外出を避けるといった行動の必要性が続きそうだ。