近畿地方整備局は15日、2025年度第4回事業評価監視委員会を開催し、中部縦貫自動車道一般国道158号大野油坂道路(大野東〜和泉区間)、同(和泉〜油坂区間)の再評価(一体評価)を審議、継続を了承した。和泉〜油坂区間の全体事業費は535億円で、そのうち残工事費は472億1000万円となっている。
同区間の全体事業費は、10月に開催した第12回「中部縦貫自動車道事業費等監理会議」でも示された通り、約450億円の増額。増額の内訳は、難工事である新子馬巣谷橋の工事課題に伴う増(鋼管杭による抑止などを追加施工)で343億円、物価上昇による資機材・労務費の増で51億円、国道158号斜面崩落による通行止めの影響による増で45億円、トンネル施工中の湧水や切土工事の巨石対応による増で20億円。また、商用電力の利用や発生土処分の見直しにより9億円の減少も見込む。
このうち、新子馬巣谷橋については、P1橋脚ケーソンが沈下不能な状態となり、周辺地盤状況の詳細調査を実施した結果、「大規模なすべり面」「P1橋脚ケーソンの支持力不足」「A1橋台の沈下」およびA2側施工ヤードに「破砕帯」などの工事課題を確認。そのため、大規模地滑り面に対する「鋼管杭による抑止」のほか、「A1橋台の嵩上げ」、「P1橋脚ケーソン長の延長」「擁壁構造の変更」などの追加施工が生じた。また、工事課題が生じた要因の一つは、水や空気に触れると短時間で脆弱化する蛇紋岩であり、全線で分布状況を調べその対策費用が必要となった。対策工事に伴い、工事用道路の確保や盛土材料の仮置きなど、施工計画等の変更が必要となった。
和泉・油坂区間の残事業費の内訳は、次のとおり(工種 数量 金額 備考−の順)。
【工事費】
◎改良費
▽土工 70万5555立方メートル 34億1900万円 切土(5万立方メートル)、盛土(12万立方メートル)、捨土(24万立方メートル)
▽軟弱地盤工 一式 5億9500万円
▽法面工 3万5355平方メートル 14億2600万円 切土法面、盛土法面
▽雪崩予防柵 180メートル 1億1300万円
▽擁壁工 一式 7億3300万円 補強土壁、重力式擁壁、ブロック積擁壁等
▽函渠工 一式 300万円
▽排水工 一式 10億3200万円
▽中央分離帯 12億400万円
▽雑工 一式 800万円
◎橋梁費
▽100メートル以上 1628メートル 157億4900万円 PC橋6本、鋼橋4本
▽100メートル未満 577メートル 26億200万円 PC橋9本、鋼橋1本
◎トンネル費
▽NATM 1万182メートル 142億5000万円 6本
◎IC・JCT費
▽IC 2個所 4億5900万円 変形ダイヤモンド型(1)、OFF・ONランプ(1)
◎舗装費
▽車道舗装 17万3170平方メートル 53億6600万円
◎付帯施設費
▽付帯工事費 一式 2億5100万円 標識工、防護柵工、道路照明等
【用地および補償費】
◎補償費 一式 4800万円
【間接経費】
◎間接経費 一式 62億4200万円 地質調査、測量、設計にかかる費用および予備費