滋賀県農政水産部耕地課は、野洲川地区における水管理施設の更新(県営かんがい排水事業)について、対象4ヵ所のうち、中央管理所(甲賀市水口町的場)に係る実施設計業務を初段の案件として取り組む。同業務を2025年度(令和7年度)より26年度(令和8年度)にかけて進める予定だ。
全体事業計画では、老朽化により機能低下した水管理施設の改修を緊急に行うもので、建屋内にある現存の設備を更新・補修。農業用水の安定供給および施設の維持管理の費用と労力の軽減を図る。事業期間は2025〜30年度(令和7〜12年度)、事業費は15億8600万円を見込む。内訳は▽工事費=15億1100万円(4ヵ所)▽事務的経費=7500万円―。
水利施設等保全高度化事業(水利施設整備事業〔基幹水利施設保全型〕)「野洲川地区」の対象は▽野洲川ダム▽水口頭首工▽石部頭首工▽中央管理所―の水管理施設4ヵ所。監視・制御システムの機器更新や構成変更などを行う。低騒音・低振動、排出ガス対策を施す等、環境に配慮した工事計画とする。また、追加設置するカメラについては周辺の景観に配慮した色彩とする。
4ヵ所のうち、中央管理所の既設水管理システムは、野洲川ダム、水口頭首工、石部頭首工それぞれの管理システムと光専用線で接続し、ダム貯水量や頭首工取水量等の諸量データを監視・記録。また、県営事業で設置したTM子局(鮎川幹線水路局、土山幹線水路局、大野幹線水位局1、大野幹線水位局2、守山支線水位局、比江分水工水位局)で末端水路の流量を監視・記録している。ダムと頭首工に設置されたCCTVカメラの映像を遠隔監視。また、滋賀県(甲賀合同庁舎)および青土ダム諸量と、野洲川地区管理諸量の一部を転送しあっている(伝送回線は滋賀県が契約しているNTT専用回線であるため、更新対象外)。
施設整備計画によると、中央管理所の概要は管理システム更新(全体)。整備内容は▽中央管理システムの全面更新(更新済み機器は既設利用)▽伝送回線の変更(光専用回線→光公衆回線)▽エアコン冷却方式の変更(ガス式→電気式)―。
所管の甲賀農業農村振興事務所田園振興課では、中央管理所水管理施設更新実施設計業務の受注者を、26年(令和8年)1月14日開札の制限付き一般競争入札(総合評価方式〔業務標準型〕)で選定する。落札決定は同月19日の予定。委託期間は契約締結日より5日以内の日から同年7月24日まで。
野洲川地区(守山市・野洲市・栗東市・湖南市・甲賀市)は、滋賀県の東南部に位置し、一級河川の野洲川に沿って平地が広がる水田地帯。水稲作を中心に、麦、大豆、野菜等を組み合わせた営農が展開されている。
地区の主要水源である野洲川は、河床が急勾配のため流下時間が短く慢性的な用水不足が発生するとともに、大雨時にはたびたび洪水が発生していたことから、基幹的な農業水利施設として、国営野洲川農業水利事業(1947〜55年度〔昭和22〜30年度〕)により、野洲川ダム、水口頭首工、石部頭首工が整備された。
その後、国営造成土地改良施設整備事業(1974〜78年度〔昭和49〜53年度〕)により同施設の機能維持および安全性の確保を図るための改修が行われた。また、県営事業等により関連する水路や受益地内のほ場整備等が行われた。
さらに、野洲川流域における山林荒廃や地域開発の進行に加え、降雨強度の増加など、自然的・社会的状況の変化に起因して、河川への流入量が増加したことから、野洲川ダムおよび石部頭首工は洪水流下能力の不足などの機能低下が生じたため、災害の未然防止を図るとともに、農業生産性の維持および農業経営の安定を図るため、国営総合農地防災事業「野洲川沿岸地区」(1999〜2009年度〔平成11〜21年度〕)により改修が行われた。
また、老朽化および損傷の著しい水口頭首工に対しても、取水・洪水流下能力の不足による農地や家屋等への被害を未然に防止するために、国営造成土地改良施設整備事業「野洲川中流地区」(2006〜09年度〔平成18〜21年度〕)により改修が行われた。
しかし、水管理施設においては、経年的な劣化により突発的な故障が生じており、農業用水の安定供給に支障を来たしているとともに、施設の遠方監視が困難になるなど、維持管理に多大な費用と労力を要している。
提供:滋賀産業新聞