京都府の西脇隆俊知事と京都市の松井孝治市長は、府の旧総合資料館跡地など北山エリアのまちづくりについて、地域や専門家らの意見を広く聴く会議体を設置することで合意した。
京都市中京区の京都市役所で23日に開催した府市トップミーティングで、松井市長は、北山エリアのまちづくりについて「府立植物園、府立大学、府立京都学・歴彩館があり、全体的に京都府がランドオーナーとして色んな施設を運営している。この北山エリアについての知事の思いは」と呼びかけ。西脇知事は「自然環境が豊かで、多くの公共施設も集積しており、府民に文化を身近に感じられる場所。旧総合資料館跡地には舞台芸術や視覚芸術の拠点施設を整備することを検討している。今年10月からは暫定的な活用として、官民連携事業で公園型複合施設を整備した。そのオープニングで京都市交響楽団(京響)に演奏していただいた。跡地の本格活用では、北山エリアから文化芸術を発信したい。将来はさらに魅力ある空間・エリアにしたい。京都市内の都市計画を含めて、まちづくりとの関係が深いことから、関係者を交えた会議体のようなものを設置したうえで、関係者と一緒になって議論できればいいと思っている」と提案。
松井市長は「京響はいま、素晴らしいレベルになっていて、市民からも愛されている。府が北山エリアを再整備される中で、音楽の拠点として有機的に位置づけていただきたい。京都市の京都コンサートホールは大規模改修の基本設計に着手している。これを機に音楽を通じた多様な人々の交流、将来の担い手育成を通じて、北山エリアの音楽交流拠点化していきたい。地域関係者、文化芸術の関係者、まちづくりの専門家ら幅広く意見を聴く会議体を設置していただき、北山のまちづくりの議論を深めていきたい。我々も一緒に汗をかきたい」と応じた。西脇知事は「資料館跡地は貴重な空間。できる限り幅広く意見を聞くということで一緒になってやっていきたい」と述べた。
続いて、西脇知事は「京都府が管理している鴨川の河川空間と、京都市が管理している歩行者や公園などの空間について、まちづくりを一体的にできないか。その典型例として、高瀬川や京都駅周辺など、鴨川周辺エリアとの回遊性を高めるようなことも検討できればいい。まだアイデア段階だが、そういうことも検討したい」と呼びかけ。
松井市長は「菊浜エリアでは、まちが変わりつつある。アーティスト・イン・レジデンスのような地域にしたいという思いがある。鴨川と高瀬川に挟まれたエリアであり、新しい文化が芽生えている。まちづくりとして京都市ができることに知恵を出し、汗をかきたい」と応じた。
このほか、消防体制の強化について、西脇知事は「災害発生時は上空からの情報収集、火事の消火、人員や物資の輸送でヘリコプターの活用は必須。京都府は今年度、京都舞鶴港に大型ヘリが離着陸できるヘリポートと、孤立する可能性がある舞鶴市と綾部市でヘリポート設置を支援している。消防ヘリコプターの2機の同時運航体制の確保をはじめとする防災航空体制の強化について、京都市との連携を深め、また府内の市町村の協力も得て、消防防災ヘリコプターに係る人員体制や整備の拡充を進めていきたい」と提案。松井市長は「賛同します。京都市としても、京都府とともに消防航空体制の強化に取り組んでいきたい。京都市と府内の消防本部との連携については、消防指令センターの共同運用に向けた取組を既に始めている。消防ヘリコプターに関する研修会や合同訓練の実施など。消防体制の強化に向けて、京都市消防ヘリコプターの2機同時運航が可能となるよう、運用面や人員体制面での具体的な内容について、府市でとりまとめていくということを消防体制の強化に関する今日の合意事項としたい」と述べた。
その後の質疑で、北山エリアのまちづくりについて、西脇知事は「これから幅広い関係者に集まっていただき、意見を聴きたい。資料館跡地は舞台芸術や視覚芸術の拠点にしたいということで、今は暫定活用している。京都市の京都コンサートホールも改修されるということであり、北山エリアには未利用地もある。府立大学のキャンパス整備計画もある。知事になった頃は、アリーナを前提に議論が行われていたが、アリーナは向日市に作ることになった。改めてこのエリアを再定義したい」、松井市長は「京都コンサートホールは改修するが、京響には素晴らしい才能が育っている。音楽があふれるようなまちにできたらいいなという思いはある」などと答えた。