愛知県建設局は、矢作川流域を中心とする西三河地域の10市町と、全国初となる上下水道の一本化に向けた「矢作川流域上下水道広域連携協議会」(会長・大村秀章知事)を発足させた。今後、細部の協議を進め、一本化の合意、上下水道の事務事業を担う新組織の設立を目指す。
協議会の発足に当たり、大村知事と岡崎市など10市町の首長らは、2025年12月26日に県庁に集まり、協議会の規約(案)などを了承。新組織の設立に向けて動き出すことを確認した。
その冒頭、大村秀章知事は「西三河地域においても発生が危惧される南海トラフ地震への対策や、管渠の老朽化対策など上下水道事業が抱える課題に対し、将来を見据えて地域が一丸となって早急に取り組んでいく必要がある」とし、「上下水道の一本化により効率的な事業運営を図り、地震対策や老朽化対策を着実に進めるなど、強靱で持続可能な上下水道事業の実現を目指す」とあいさつ。早期に新たな運営体制を構築する考えを示した。
新組織の方向性としては、県や市町が一つの経営主体となるが、認可や事業計画は引継ぎ、それぞれの事業は継続する形態である「経営の一体化」を想定。併せて「施設の共同化」「管理の一体化」に取り組み、さらなる効果の発現を目指すものとした。なお、県や市町が一つの経営主体となり、認可や事業計画を一つにまとめる形態で、原則として料金の統一が必要となる「事業統合」については、新組織設立後、必要に応じて検討するとしている。
県では、西三河地域における上下水道の一本化に向け、24年8月に広域連携協議会(仮称)準備会を設立。検討・協議を進め、協議会設立の基本合意を得て、今回の設立に至った。対象自治体は、愛知県と、岡崎市、碧南市、刈谷市、豊田市、安市、西尾市、知立市、高浜市、みよし市、幸田町の9市1町(以下、関係自治体)。検討対象事業は、県が、水道用水供給事業のうちの西三河地域の事業と、矢作川流域下水道事業。関係自治体が、水道事業、公共下水道事業、農業集落排水事業、コミュニティ・プラント事業、その他汚水の集合処理事業。
上下水道一本化基本方針で示した「施設の共同化」で選定された水道の対象施設の方向性を見ると、@木瀬浄水場(豊田市)は廃止し、県水へ切替え、A南部浄水場(安城市)は廃止し、市水および県水へ切替えB知立浄水場(知立市)は廃止し、県水へ切替えC上羽角配水池(西尾市)は廃止し、幸田町施設からの配水へ切替えD横根配水場(刈谷市・大府市)は施設の統廃合E仁木浄水場(岡崎市)、男川浄水場(岡崎市)、幸田浄水場(愛知県)の3施設は共同整備F北野配水場(岡崎市)、中切水源配水場(豊田市)、岡崎広域調整池(愛知県)の3施設は共同整備。全体施設数は、浄水場が6施設、配水場等が6施設(幸田町施設からの切り替えを含む)。
下水道の対象施設の方向性を見ると、公共下水道2施設のうち、@鞍ケ池浄化センター(豊田市)は廃止し、流域下水道へ接続A駒場マンホールポンプ(豊田市)は廃止し、知立市管路へ接続。農業集落排水施設の33カ所(豊田市2、安城市1、西尾市20、みよし市6、幸田町4)は廃止し、流域下水道へ接続。コミュニティ・プラントの4カ所(豊田市1、みよし市3)は廃止し、流域下水道へ接続する。
また、上下水道一本化による効果としては、経営規模の拡大により、ニーズに合わせた戦略的かつ柔軟な人員配置(執行体制の強化)が可能となり、業務の効率化、また、全体最適を意識した「施設の共同化」や「管理の一体化」が推進しやすくなり、建設改良費(更新費用)、維持管理費の縮減が図れること。上下水道を一体とした地震対策や、被災時における効率的な早期復旧体制の構築―などを挙げた。
提供:建通新聞社