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北海道建設新聞社
2026/01/08

【北海道】国交省道局の26年度予算案/道開発事業費は0.5%増、5653億円

 国土交通省北海道局は2025年12月26日、26年度予算案の北海道開発予算を発表した。一般公共事業費に当たる北海道開発事業費は国費ベースで25年度当初比0・5%増の5653億9100万円。国土強靱化へ老朽化対策を講じる下水道が約2割伸びた。25年度補正と合わせた16カ月予算は7539億9200万円で、25年度当初・24年度補正の合算より2・3%増えている。
 高市早苗政権が初めて編成する当初予算案。26年度の北海道開発予算は25年度当初比0・6%増の5780億2300万円となった。食料安全保障や観光立国の強化、デジタル関連産業の集積支援、強靱な国土づくりをはじめ6つの目標を掲げ、第9期北海道総合開発計画3年目の取り組みを進める。
 部門別に見ると、治山治水は1034億100万円と0・6%増えた。流域治水の一環で北村遊水地や安平川の堤防整備に引き続き取り組む。急激な大雨に備え、後志利別川の掘削など治水体制強化も予定する。
 道路は道路環境整備を含め2461億500万円と0・4%上回った。津波浸水リスクを回避する国道44号尾幌糸魚沢道路、半導体をはじめ成長産業を物流面で支える道央圏連絡道路など高規格道路網の充実を図る。札幌中心部への利便性を高める都心アクセス道路新設も継続する。
 港湾空港鉄道等は2・2%上回る257億9900万円。インバウンド需要の回復に伴う税収増で空港が6・3%増と伸びをけん引した。新千歳空港の誘導路複線化を継続する。丘珠空港滑走路延伸の事業化に向けた環境アセスメント手続き、釧路をはじめ盛り土構造3空港の土質解析も進める。
 港湾は苫小牧港東港区のマイナス9m耐震強化岸壁新設を続ける。石狩湾新港のマイナス12m岸壁も整備し、貨物船の輸送力強化につなげる。
 公園水道廃棄物処理等では下水道が19・6%の大幅増となった。25年1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故を踏まえ、管路を含む施設の耐震化・更新を図る。
 農業農村整備に1・3%増の807億6000万円を配分した。農産物の生産コスト低減に向けた農地の大区画化やスマート農業の推進に充てる。森林は林道整備に加え、被災箇所の復元、再生を進める。
 当初ゼロ国債は360億9300万円の枠を設定。内訳は治水99億8300万円、治山1億6400万円、道路整備202億900万円、道路環境整備47億2700万円、農業農村整備10億1000万円となっている。
 北海道建設業協会の岩田圭剛会長は26年度予算案が閣議決定し、コメントを発表した。
 25年度補正予算で防災・減災、国土強靱化の推進費が確保されたことと併せ「社会資本の着実な整備には事業量の確保が不可欠。さまざまな行政課題への対応で財政状況が厳しい中、このような規模の北海道開発事業費を得ることができ、関係者に感謝する」と新年度の公共事業の進捗に期待を寄せた。
 ■解説/物価上昇局面でも事業量確保を
 2026年度予算案の北海道開発事業費は微増となり、4年連続のプラスを死守した。霞が関や永田町からは安堵(あんど)が見えるものの、伸び幅に満足する声はほとんどない。今回の予算編成は、円安・インフレ経済下での公共事業費増額の難しさを如実に示す結果となった。
 「補正予算が大型になった後でも前年度増を維持できたのは評価できる。ただ、増加の程度は寂しいね」−。道内選出与党議員の関係者は厳しい表情で話す。伸び率は国土交通省全体の一般公共事業費の0・3%を0・2㌽上回ったものの、「期待していた水準には届いていない」とした。
 25年10月に誕生した高市早苗政権は高い支持率を誇り、衆議院では与党会派で多数を形成。それまでの政局不安は和らぎ、モットーの「責任ある積極財政」に建設業からの期待感は高まった。
 それでも公共事業費が微増にとどまった背景には、予算膨張で金融市場が過剰に反応するのではとの財政当局の警戒感がある。「円安や金利上昇が一層進み、インフレに拍車がかかれば経済全体に悪影響が及ぶとのスタンス。マーケットの動向を非常に気にしているため、増額には厳しい姿勢だった」(自民党国会議員)という。
 25年度補正が第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分経費計上で大型化し、16カ月予算としては25年度当初・24年度補正合算比で2・3%、170億円余りの増加となった。ただ、足元で進む資材価格や人件費の高騰に見合う水準と言えるのか。改正建設業法の全面施行で労務費確保が「厳命」される中、道内建設業にとって安心できる状況ではないだろう。
 ラピダスや産業技術総合研究所の千歳進出、北海道バレー構想など道内には国の未来を左右するプロジェクトであふれている。本道が成長分野の主軸を担い、日本全体の経済成長をけん引するチャンスでもある。食料安全保障や観光立国といった観点でも、本道が果たす役割の大きさは言うまでもない。目標の実現には、半導体関連産業や世界最高峰の技術者が集まる地域にふさわしいインフラの構築、農業の基盤整備などが大前提だ。
 政府が26年度予算編成の基本方針で示唆したように、今後は大型補正予算の常態化が是正される可能性が高い。当初予算を16カ月予算に近い規模にするのであれば、概算要求の条件など枠組みの根本的な見直しが必要になる。例え円安や物価上昇の局面だとしても、十分な予算の下、苦境にあえぐ建設業を支えられるだけの事業量確保が求められる。(建設・行政部 塚本遼平)