京都府は、事前評価の一般府道内里城陽線(城陽−八幡連絡道路)道路整備事業、嵐山宮ノ北急傾斜地崩壊対策事業、再評価の三河U地区急傾斜地崩壊対策事業の計3事業について、1月21日に開催する公共事業評価に係る第三者委員会に諮る。
木津川横断橋は延長430m 一般府道内里城陽線(城陽−八幡連絡道路)道路整備事業は、木津川を渡るバイパス道路を整備する計画。
東西の交通のボトルネックとなっている木津川について、国道1号(第二京阪道路側道)の新木津川大橋と国道307号の山城大橋の橋梁間延長が7・9qあり、宇治川の宇治橋〜御幸橋の橋梁間延長3・6q、桂川の夢かなえ橋〜保津橋の橋梁間延長3・4qと比較しても最も長くなっていることから、「この区間において、新たに木津川を渡る東西方向の道路を設けることが有効」とし、令和8年度から新規に事業化する考え。
事業箇所は八幡市内里〜城陽市寺田塚本(一般府道内里城陽線〜都市計画道路塚本深谷線)で、全体延長はL2・5q。橋梁は西側の橋長L35m、木津川横断の橋長L430m、東側の橋長L40mを予定。幅員は土工部26・25mが車道3・25m×4車線、中央帯1・75m、路肩0・75m×2、自転車道2・50m×2、歩道2・50m×2、橋梁部25・00mが車道3・25m×4車線、中央帯1・00m、路肩0・50m×2、自転車道2・50m×2、歩道2・50m×2。
計画交通量は3万6300台/日(令和22年予測交通量)。道路の区分は第3種第2級。
総事業費は337億円(うち用地費56億9000万円)を見込む。
城陽−八幡連絡道路の整備により、国道24号や宇治淀線など府南部地域の幅広い路線で交通の円滑化が見込まれるとし、城陽市役所〜八幡市役所間は約33分から約22分の約11分、宇治市役所〜八幡市役所間は約38分から約35分の約3分、城陽市役所〜枚方市役所間は約49分から約34分の約15分の所要時間の短縮を見込む。
総便益(B)は1039億1000万円、総費用(C)は228億7000万円、費用便益比(B/C。社会的割引率4%)は4・5と算出した。
各設計段階における地質リスク発生事象への対応として、予備設計では「施工区間の概要把握及び地質リスク抽出を目的とした地質調査」、詳細設計では「既往調査で抽出された問題点に対応した詳細な地質調査」を挙げた。
事業箇所周辺には、西岩田遺跡、玉造遺跡、木津川東岸河床遺跡の埋蔵文化財があるため、それらを考慮して設計を実施。必要に応じて埋蔵文化財調査を行う。
コスト縮減については、今後の詳細な地質調査により、構成土層の分布・性状を詳細に把握することで、効率的な構造物の設計施工に努めることができ、コスト縮減が可能となる可能性があるとした。
また無電柱化の方法の比較によるコスト縮減策を検討。当該事業では、低コスト管路材を使用することで、従来の管路材を使用した場合に比べ、無電柱化の整備費(材料費、工事費)について約3割のコスト縮減を見込むことができるとした。
代替案の可能性については、事業地周辺は平地で、川幅も変わらないなど、地形的な条件はほぼ一様で、さらに大きな工場、寺社等は原則回避してルートを設定すべきであることを踏まえると、大きく経済性、環境への影響などが異なる合理的な代替案が想定できないため、ルート比較は実施しないこととした。
橋梁については、美しい景観を有する木津川や京都府景観資産登録地区「浜茶と竹林の景観」に架設することから、周辺景観に配慮したデザインを検討するとし、学識経験者の意見聴取などにより景観検討を実施する。
府は、事業の効果として「新名神高速道路の全線開通を見据えて、工業団地や物流・産業拠点の計画や構想が多く、木津川左岸エリアには学研都市クラスターが分布(事業中含む)している。城陽−八幡連絡道路は、木津川の右岸・左岸地域の連携促進などの府南部地域のまちづくりの形成につながるとともに、府南部地域における道路交通の円滑化などが期待される」、良好な環境形成及び保全として「走行性向上による排気ガス排出量の削減や交通環境の改善が期待される」とし、公共事業評価に係る第三者委において「総合評価として、当該事業は新規着手の必要性が認められる」とする府の方針を示す考え。
京都府山城北土木事務所は、八幡市域と城陽市域をつなぎ、木津川を横断する路線について、関連調査を指名競争入札で令和7年11月に開札。オリエンタルコンサルタンツが落札した。主な業務内容は、延長2500m、路線検討一式、事業効果検討一式。履行期間は令和8年9月30日。
嵐山宮ノ北急傾斜地崩壊対策
事業費は18億1400万円 令和8年度からの新規事業化を計画する嵐山宮ノ北急傾斜地崩壊対策事業の嵐山宮ノ北地区は、京都市西京区北東部に位置。対象斜面は山地・丘陵地の急斜面にあたり、桂川が曲流しながら北西から南東へ流下する右岸側(松尾山)の北東向き斜面にあたる。松尾山の麓から桂川までの間は、阪急嵐山線が通る住宅が密集した地域で、京都を代表する観光地・嵐山からも近く、当該地の北側には渡月橋、南側には松尾大社といった観光スポットがある。
同地区は、勾配が約40度、高さが最大で145mある急斜面が約650mにわたって連続する。斜面の大部分は土砂で構成されているが、部分的には岩盤も確認されている。
土砂災害防止法施行令第2条第1号に規定される「傾斜度が30度以上で、高さが5m以上の急傾斜地」に該当することから、平成28年1月に急傾斜地の崩壊による土砂災害のおそれがある区域として、土砂災害警戒区域(イエロー区城)及び土砂災害特別警戒区域(レッド区域)に指定している。
土砂災害警戒区域内には人家127戸、道路(市道等)が830mあり、大雨等が原因で急傾斜地の崩壊が発生した際には、これらが土砂災害の被害を受け甚大な災害となるおそれがある。
事業の目的は、これらの施設を保全することで土砂災害から人命を保護し地域の安全を確保するため、急傾斜地崩壊防止施設を設置するもの。
事業内容は、斜面崩壊により崩落した土砂が、山裾の人家に衝突しないよう、人家のすぐ山側に崩落した土砂を捕捉するための崩壊土砂防護柵を625mにわたって設置する。防護柵は連続して設置する必要があるため、地形の高低差に対応しようとすると、防護柵を法裾に設置することができない区間が生じ、防護柵と人家との間に高さ5m以上の自然斜面が残る箇所ができることから、斜面崩壊が発生しないよう、法面工(吹付枠工+鉄筋挿入工)A4110uを併用する。
総事業費は18億1400万円を見込む。
代替案の可能性として、急傾斜地崩壞防止施設の比較案を3案(▽崩壊土砂防護柵▽重力式擁壁工▽地山補強土工)立案し、施工性、景観及び維持管理に着目して比較検討を行い、最も経済性が高い崩壊土砂防護柵の工法を採用してコスト縮減を図る。
人家を集団移転することで急傾斜地崩壊防止工事を実施しない案も考えられるが、近隣に移転適地となるような広い空き地がなく、移転対象者が127戸と多いことから、実現は困難とした。
良好な環境の形成及び保全としては、▽斜面崩壊を防止し、土砂移動の抑制を図るとともに、周辺の自然環境を保全。掘削量が少ない工法を選定し、地形改変を小規模に抑える▽工事実施中は、低騒音、低振動機械を使用することを原則とする。建設発生材は当該工事や近傍の公共工事や民間工事と調整し、再利用に努める▽崩壊土砂防護柵の支柱の色は京都市の景観条例に基づき、地域に調和した配色に努める。
総便益(B)は174億1900万円、総費用(C)は12億7300万円、費用便益比(B/C。社会的割引率4%)は13・68と算出した。
当該事業で施工する法面工と崩壊土砂防護柵の構造について、代表箇所でのボーリング調査をもとに設計を行い、工法を決定した。懸念されるリスクとして、局所的な土質変化点等があった場合にこれらの構造を変更が生じたと想定した場合、約2億円増の可能性があるとした。この場合においても総費用総便益比は12・42となり、効率性が確保できることを確認した。
府は、公共事業評価に係る第三者委において「総合評価として、当該事業は新規着手の必要性が認められる」とする府の方針を示す考え。
三河U地区急傾斜地崩壊対策
再評価で事業費7億円増 福知山市大江町で進めている三河U地区急傾斜地崩壊対策事業の三河U地区は、若狭湾へと注ぐ由良川の河口から約18q上流の左岸側支川沿いにある。同地区は主に西向きの斜面で構成されており、支川に沿って複数の谷地形が形成され、周囲には山地が広がり、地形的に起伏が大きい。斜面は河川の蛇行部付近に位置し、岩盤の露頭が点在。谷底部は比較的平坦である一方、周辺の斜面は急峻で、土砂災害のリスクが高い地形となっている。
平成20年3月に土砂災害防止法に基づく基礎調査の結果を受け、土砂災害警戒区域等に関する区域(急傾斜地の崩壊)の指定が行われ、土砂災害警戒区域(イエロー)及び土砂災害特別警戒区域(レッド)内に人家や道路が存在する。
現在、京都府中丹西土木事務所が急傾斜地崩壊対策の工事を進めている。
事業の目的は、保全対象として人家17戸、避難路(府道三模三河線。被災道路延長L373m)が存在する急傾斜地崩壊危険箇所の対策工事を行うもの。今後の大雨により、がけ崩れの発生が懸念され、人的被害が起こり得るとともに、避難路への土砂崩落により通行が制限されれば、避難や救助の支障となるおそれもあるため、急傾斜地崩壊防止施設を整備し、土砂災害から人命を保護し地域の安全を確保する。
事業内容は、擁壁工により、斜面下部の崩落を防止するとともに、斜面崩壊により崩落した土砂を人家の手前で捕捉し、崩落した土砂の人家への衝突を防止する。また、斜面の表層崩壊を防止するため、法面工を設置する。
擁壁工はL453・3m、法面工はA3519・0u。事業費は15億円(うち用地費700万円)を見込む。
事業の進捗状況によると、平成28年度に事業着手し、測量や地質調査、設計、地元説明及び用地調査などを進め、平成30年度に工事着手した。令和4年度末時点で用地買収が完了、現在は法面工及び擁壁工を実施している。
令和7年度末までの投資事業費は7億3200万円(見込み)、進捗率は48・8%。
同事業は、事業費が予算化され、継続中の事業で10年間を経過したことから、再評価対象となった。
全体事業費は、前回評価時の8億円から7億円増加。主な増加要因は@資機材費・労務費等の上昇4億3000万円A地質調査に基づく構造変更による増額(前回評価における法面工の構造は、簡易的な土質調査による推定の岩盤線に基づき、崩壊の抑止構造物としての鉄筋の本数・長さを設定していた。その後、詳細な土質調査をした結果、想定よりも深い位置に岩盤線があることが判明、斜面の崩壊を抑止するためには、より狭いピッチでかつ岩盤に届くよう長い鉄筋を配置する必要が生じた。擁壁工の構造についても、支持地盤の土質を簡易試験に基づき想定し、底版幅を決めていたが、ボーリング調査の結果、支持力が不足することが判明したことから、地盤改良を追加した上で、擁壁の底版幅を広げる)2億7000万円。
総便益(B)は34億7000万円、総費用(C)は15億円、費用便益比(B/C)は2・31と算出。残事業のBは15億1000万円、Cは7億円、B/Cは2・16と算出した。なお事業期間は、平成28年度から17年間(令和15年度頃)を想定。
なお将来懸念されるリスクとして、残事業費について、斜面全体の土質が一様ではなく、ボーリング調査結果との差異が大きければ、鉄筋挿入工の本数や削孔長を見直す必要が生じ、増額が生じるおそれがあるとし、その場合の増額は約1億円程度となる見込みだが、その場合においてもB/Cは2・05となり、効率性を確保できているとした。
事業の進捗見込みについて「用地買収は完了しており、法面工及び擁壁工についても一部整備が完了している(進捗率48・8%)」「早期完成に向けて引き続き法面工及び擁壁工を進める」とした。
府は、公共事業評価に係る第三者委において「総合評価を行った結果、事業を継続する必要がある」とする府の方針を示す考え。