静岡県内では、都市機能の更新や地域価値の再構築を目的とした市街地再開発事業が各地で検討されている。一方、近年の建設コストの高騰を背景に、事業計画や資金計画、建物規模の見直しを迫られる地区も多く、本組合設立や着工時期の後ろ倒しが相次いでいる実情もある。
主な再開発事業計画の概要とともに、各地区が直面している課題や最新の進捗状況を整理する。
【富士駅北口第一地区第一種市街地再開発事業】
JR富士駅の北側に複合ビルを新築する。2025年12月に権利変換計画が認可された。現在、静鉄建設(静岡市葵区)が既存施設を解体している。完成は29年3月を予定しているが、新築の着工時期は未定。
施行面積は約1f。南側の約4080平方bに、鉄筋コンクリート一部鉄骨造12階建て延べ約1万3620平方bのビルを整備する。住宅をはじめ救急救命士の専門学校や店舗が入る。住戸数は98戸。北側(約2040平方b)には鉄骨造6階建て延べ約9900平方bの施設を整備し、立体駐車場とする他、スーパーマーケットの誘致を検討している。
組合はビルを新築する特定業務代行者を24年9月に公募したが、予定工事費を下回る事業者がいなかったため選定に至らなかった。現在、コストダウンの検討や工程表の確認を行っており、26年度に施工者を入札で決める。約150億円としていた総事業費も、現在調整中。
建設地は富士市本町。
事業協力者として静岡鉄道(静岡市葵区)、ミサワホーム(東京都新宿区)、戸田建設(東京都中央区)、静鉄建設の4社が参画している。再開発事業計画コーディネート業務は、アール・アイ・エー(東京都港区)が担当。
【町方町・通横町地区第一種市街地再開発事業】
15年、JR沼津駅南口から南へ約600bの商店街「アーケード名店街」を中心とした約1・8fのエリアが都市計画決定された。「A〜E街区」の5街区に区分され、現在、南側のE街区(約0・3f)を「第一地区」、北側のA街区(約0・6f)を「第二地区」として再開発が進んでいる。
E街区では、先行して「町方町・通横町第一地区市街地再開発組合」がビルを新築しており、28年11月の完成を目指す。特定業務代行者として、タカラレーベン・フジタ共同企業体が参画。設計・施工はフジタ(東京都渋谷区)が行い、タカラレーベン(東京都千代田区)は住宅保留床を取得する。
A街区では準備組合がビルの建設を計画しており、現在、事業計画と資金計画を作成している。基本設計にも着手しているが、設計事務所名は非公表。
ビルは構造が鉄筋コンクリート造・鉄骨造で床面積が1万3660平方b。高さは31b。主な用途は店舗と住宅。
本組合の設立は25年度を予定していたが、26年度に後ろ倒しとなった。事業推進コンサルタントのフォルテックス(東京都千代田区)によると、「事業計画の作成に当たり、資金計画を見直している段階」という。既存施設の解体は28年度を予定している。
事業協力者はフージャースコーポレーション・安藤ハザマ・加藤工務店・佐藤建設共同企業体。今後、事業協力者は実施設計と施工を担う特定業務代行者を選定する。
建設地は沼津市町方町他。
【大手町五丁目第一地区第一種市街地再開発事業】
JR沼津駅の南にある「さんさん通り」と仲見世商店街の間にはさまれた、約0・4fにビルを新築する。準備組合によると、現在、定款と事業計画について協議している段階。26年度内の本組合設立を目指しているが、具体的な時期は未定。
沼津市は、24年11月に都市計画決定した。決定時でのビルの規模は延べ約2万8500平方b、階数は25階前後を想定。住宅や店舗、事務所が入る予定で、機械式立体パーキングも整備する計画。完成時期は31年ごろとしているが、組合内で協議中。
建設地は沼津市大手町5他。
基本設計は梓設計(東京都大田区)が担当。施工者は今後選定する予定。事業協力者として、旭化成不動産レジデンス・三菱地所レジデンス共同企業体が参画している。
【藤枝駅前一丁目6街区第一種市街地再開発事業】
JR藤枝駅の北側にビルを建設する。24年10月に都市計画決定し、準備組合は25年7月の本組合設立を目指していた。ただ、建築費の高騰などにより事業計画を見直しており、スケジュールが後ろ倒しになっている。
事業の地区面積は約0・3f。17階建て延べ1万3058平方bのビルを新築し、住宅(104戸)、商業施設、業務施設などを整備するが、階高などの規模を変更する可能性がある。
建設地は藤枝市駅前1。
事業協力者として静岡鉄道(静岡市葵区)、フージャースコーポレーション(東京都千代田区)が参画しており、アールアンドディ新建築都市研究所(東京都新宿区)がコンサルタント業務を行っている。ビルの設計・施工を担う特定業務代行者は、鉄建建設・ユーデーコンサルタンツ共同企業体。
「藤枝駅前一丁目6街区第一種市街地再開発事業」の建設地の東では、「藤枝駅前一丁目9街区市街地再開発組合」が、商業施設や分譲住宅などが入る再開発ビルを建設している。規模は鉄筋コンクリート造21階建て延べ1万6240平方b。施工は鉄建建設名古屋支店(名古屋市中村区)が担当。
建設地は藤枝市駅前1ノ9。
【栄町第一地区第一種市街地再開発事業】
JR焼津駅の南にビルを整備する。焼津市は25年3月に都市計画決定しており、準備組合は26年度の本組合設立を目指す。権利変換計画の認可は27年度となる見通し。
都市計画決定時点でのビルの規模は、延べ約2万1000平方b。階高は17階を予定しているが、低くなる可能性がある。住宅(約120戸)と店舗が入る。高さは約60b。ビルの隣には店舗付きの立体駐車場を整備する。自走式の駐車場で、収容台数は275台を予定しているが、台数は増加する見通し。
建設地は焼津市栄町3ノ4他。JR焼津駅南の焼津駅前通り商店街内に位置し、敷地面積は約4900平方b。現在は店舗、住宅など計8棟の施設がある。
既存施設の解体は27〜28年度、ビルの完成は30〜31年度を予定している。
基本設計は東急設計コンサルタント(東京都目黒区)が担当。事業協力者は橋本組・池田建築設計事務所共同企業体、フージャースコーポレーション。
【紺屋町・御幸町地区第一種市街地再開発事業】
JR静岡駅の北側に、店舗、事務所、マンションを備えたビルを建設する。準備組合は、本組合設立に向け事業計画を作成中。建築費の高騰などを鑑み、270億円としていた総事業費も精査中。
28年度の解体着手を目指しているが、地下工事も行うことから工程を精査しており、権利変換計画の認可、ビルの完成時期は調整中。
建設地は静岡市葵区紺屋町8他。施行区域面積は約8600平方b。
事業協力者として、野村不動産(東京都新宿区)と旭化成不動産レジデンス(東京都千代田区)が参画している。ビルの基本設計は梓設計が担当。
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提供:褐囃ハ新聞社)