建設部1175億円、復旧除けば横ばい
長野県の2026(令和8)年度当初予算の要求総額は一般会計1兆641億円(対前年度当初予算比+523億円、+5.2%)。国の経済対策を受けた「第3弾」に位置付けつつ、阿部守一知事が示す編成方針の柱である「県民の安全・安心の確保」と「将来に向けた基盤づくり」を軸に、頻発・激甚化する災害への備えや、インフラの老朽化対策、脱炭素化、担い手確保と生産性向上を重ね、地域経済を下支えする投資を積み上げている。
県は26年度当初予算の概算要求をまとめ、1月19日に県建設業協会と県部局長が行った意見交換の場で建設・インフラに関わる重点を説明した。一般会計の要求総額1兆641億円は、対前年度当初比523億円増。21日から始まった知事査定を経て予算案が決定される。
建設部
建設部の要求総額は1175億円余で、対前年度当初比8億円余の減額。ただ、災害復旧費を除くと1790万円の増で、平時の社会資本整備・維持管理は前年並みの規模を確保した。栗林一彦建設部長は、減額要因として「前年度当初の国からの配分額や過年度災害復旧の進捗を勘案した結果」と説明。事業課別では、道路建設課・道路管理課の補助公共事業は前年度の配分を踏まえて抑制する一方、道路管理課分で冬季の低温で損傷した舗装の修繕を県単独事業で集中的に実施するため増額。河川課は過年度災害復旧の進捗を踏まえ、復旧・関連事業で減額。都市・まちづくり課では松本平広域公園陸上競技場の整備費を増額したほか、コンパクトシティ形成を後押しする街路整備などを積み増した。建築住宅課では信州健康ゼロエネ住宅助成金の拡充、県営住宅の修繕・建替えを行う県営住宅管理事業などで増額となった。
建設部の要求の柱は三つ。第一に「災害に強い県づくり」。気候変動や能登半島地震の教訓を踏まえ、頻発・激甚化する災害から県民の生命と財産を守るため、ハード・ソフト両面で県土の強靱化と地域防災力の向上を進める。大規模地震に備えた住宅耐震化は、地域特性に合わせて実効性を高め「一層推進する」とした。第二に「社会的インフラの維持・発展」。埼玉県八潮市の道路陥没事故にも触れ、インフラ機能を将来にわたって適切に発揮させるため、老朽化対策を軸に持続可能なインフラメンテナンスの実現を進める。第三に「建設産業の担い手確保」。次世代人材の確保・育成に向け、世代横断の魅力発信、産学官連携による学びの機会拡大、就業者の定着支援を進める方針を示した。併せて、地域特性を生かしたまちづくりや人口減少社会を見据えた県土のグランドデザイン策定にも取り組む。
環境部
環境部は、ゼロカーボン戦略の中間年に当たる令和7年度に見直し作業を進め、条例改正では新築住宅のZEH水準適合の義務化、延べ床300u以上の新築建築物への再エネ設備導入の義務化を検討していると説明。能登半島地震で上下水道被害の復旧が長期化したことを踏まえ、耐震化計画の制度化と計画的な耐震化を進める考えを示し、老朽化が顕在化する中で「建設業の力が不可欠」と協力を呼びかけた。一般会計の要求総額は65億3613万円余(前年差+10億3480万円余)で、長野市の環境保全研究所安茂里庁舎の老朽化に伴う飯綱庁舎への集約と、省エネ化を目的とした改修工事が主な増加要因という。流域下水道事業会計は201億3220万円余で、大規模建設工事の完了などから微減となった。
農政部
農政部は、農業農村整備事業の推進を「安全安心で持続可能な農村の基盤づくり」と位置付けた。圃場整備やため池耐震化、排水機場の改修に取り組み、生産性向上と農地の集積・集約、水管理の省力化を進める。土工事の割合が高い事業が多いことから「ICT施工による省力化効果が大きい」とし、重点的にICT活用を推進する方針を示した。農業農村整備(補助公共)の要求は140億6050万円余。県単独では水路改修や緊急的な山腹水路の改修、地すべり防止施設の補修などに3億4592万円余を要求した。
林務部
林務部は、治山・林道を含む要求総額を186億3001万円余(対前年比123.8%)とし、線状降水帯など気候変動下で増す山地災害リスクに対し、森林の土砂災害防止・水源涵養機能を適切に発揮させる「災害に強い森林づくり」を推進する。林道は市町村執行が基本となるが、補助事業の適切な執行、豪雨による林道施設災害への迅速対応など森林土木を進めるとした。現場条件を反映した設計積算、適正工期、ICT導入も掲げ、施工現場の実態に即した事業執行を強調した。
危機管理部
危機管理部は要求総額20億4544万円余で大幅減となるが、これは4年半かけて整備してきた衛星系防災行政無線の高所工事が今年度で一段落するためで、平準的な規模に戻ると説明。衛星通信を活用した回線強化や映像設備更新など、災害対応の即応性を高める事業を進める。また、生活インフラの更新需要の受け皿となる公営企業については、企業局が電気・水道事業の状況を説明した。企業局は地方公営企業法に基づく公営企業会計で予算を編成しており、各事業の経費は主に料金収入で賄う枠組みとなる。
産業労働部
産業労働部は、物価高や人手不足が続くなかで「持続的な賃上げ」と生産性向上を両輪に、県内企業の経営基盤と人材確保を下支えする方針を示した...<続きは「新建新聞」紙面で>
提供:新建新聞社