八幡市は、旧庁舎を解体し、その跡地に防災機能を備えた「防災・市民広場」を整備する。このほど広場の使い方や配置、考え方をまとめた基本設計案を公表した。
市民に親しまれる開かれた庁舎を目指して新たに建設された新本庁舎は、令和5年1月に開庁を迎えた。一方、旧本庁舎が立地する場所は、庁舎敷地全体において最も立地条件の良い場所であることから、旧本庁舎を解体し、その跡地には新本庁舎の防災拠点機能を強化するための「防災ひろば」を整備するとともに、新たなシビック交流拠点である「市民ひろば」として生まれ変わるための整備を行う。
庁舎敷地全体で、日常的に人々が集まり滞在できる場「やわたテラス」を構築し、市民の交流・活動を育む。新本庁舎内の「市民プラザ」や、八幡市文化センターと一体となり構成される「やわたテラス」に、「防災・市民広場」が加わることで、これからの八幡市のまちづくりの基盤のひとつとなる。
令和6年10月に策定された八幡市防災・市民広場整備基本構想では、広場整備の基本理念を市民に親しまれる「やわたテラス」、基本理念を実現するための施設整備方針を地域防災拠点となる「防災ひろば」、シビック交流拠点となる」市民ひろば」に設定。基本理念と施設整備方針を踏まえ、市民が自由に集い、交流し、コミュニティを形成する「防災・市民広場」を整備する。
旧本庁舎跡地の敷地面積2万5485uに計画。新設する防災・市民広場(事務所)の規模はRC造3階建、延943・99u(建築面積1077・56u)、高さ9・2m。駐輪場1はS造平屋建、建築面積90u、駐輪場2はS造平屋建、建築面積38u、バイク駐車場はS造平屋建、建築面積88u。駐車台数は自転車118台、バイク31台を収容。駐車場は利用者用52台(思いやり駐車場2台を含む)、公用車用1台、災害対応車両用2台を収容する。
新本庁舎のエントランスや「市民プラザ」、文化センターと合わせて、敷地全体を「やわたテラス」として計画する。配置ゾーニングとして、L字に建物を配置し、建物に包まれるように芝生ひろばを設けることで、車動線から離れて安全に活動できる空間とする。新本庁舎とは10m以上の離隔を設け、消防法上新本庁舎と別棟扱いとし、防災・市民広場」3階には新本庁舎2階と接続する連絡通路を2ヵ所設置する。
平面計画をみると、市民・防災広場には目的や用途にあわせたひろばや遊び場を整備。1階は▽多目的スペース1(可変的で拡張性を持つワンルームとし、多世代の人が寛げる休憩所や、ワークスペース・勉強場所として利用可能な設えとする。また今後の運用として、レストランやカフェ等の飲食店テナントを誘致する可能性を考慮し、厨房の設置を見込んだ床下げスペースを設ける)▽多目的スペース2(固定的で比較的小規模な屋内空間を設ける。活動が混ざり合い多様なアクティビティが生まれるよう、可動式建具で仕切る)▽大屋根ひろば(1〜3階まで繋がる大きな吹抜を設け、各階の視線やアクティビティが交わる空間とする)▽軒下ひろば(芝生ひろば側に伸びる半屋外空間を設け、異なるアクティビティが混ざり合う空間とする)▽階段ひろば(飛び石状の階段により、スロープ1や丘遊び場の経路が生まれ立体的なつながりが生まれる)▽芝生ひろば(平らなスペースは確保しながら、東側に向かって緩やかに勾配をつけることで、地面に腰掛けやすく、地形に包まれる空間とする)▽丘の遊び場(斜面を活かした遊び場として、滑り台や飛び石を設ける)▽水の遊び場(夏場に水遊びができるよう、薄く水が張れる水盤を設ける。座って夕涼みができる)▽市民ひろば(やわた市民文化祭等が行えるよう、ハード舗装の広場とする。また緊急車両の活動スペースとして、耐圧20tの路盤整備で対応する)▽スロープ(ランドスケープから建築へ緩やかに移り変わるよう、芝生ひろばの斜面に沿うようにスロープを設ける)−を整備する。
2階の平面計画は、▽多目的スペース4(比較的少人数での活動が行える小規模な屋内空間を設ける。シーンに合わせて、前面の軒下空間にスペースを拡張することも可能。アトリエや創作スペースとして利用できるよう、手洗いを設ける)▽テラス1(階段1やスロープ2などの縦動線や、多目的スペース3や遊具などの溜まりの空間に囲まれるように、デッキ敷のテラスを設ける。日常時は可動テーブルや椅子を置いて眺めの良いコミュニケーションの場に、またイベント時は仮設ステージを置いて賑わいの場に利用することができるよう、まとまった平場として設える)▽多目的スペース3(テラス1のそばに屋根付きの休憩スペースを設ける)▽テラス2・3(賑わいがあり開けた芝生ひろば側と、植栽ポッドにより緩やかに境界を設け、比較的小規模な溜まりの場を設ける)▽階段2・3(階から3階におけるそれぞれの活動をつなぐように配置。階段2を上り切った先に階段3が見えることで、3階にも行ってみたくなるように形状を工夫する)▽スロープ1(斜面に沿うようなスロープの先には中木の植栽帯を広く設け、ランドスケープが立ち上がり建築につながるような構成とする)▽スロープ2(スロープ1を上り切った先にスロープ2の上り口が見えるように配置し、GLレベルから2階、3階への一連の流れを構成)−。
3階の平面計画は、▽テラス4(大屋根広場上部にあたる吹抜を回遊できる回廊を設ける。2層分の吹抜により1階、2階とも視覚的につながり、また芝生ひろば側に大きく開けた「防災・市民広場」全体を見渡せるテラスとする)▽テラス5(新本庁舎2階と同じレベルに半屋外のテラスを設け、ベンチ等を置くことで手続きに訪れた市民の待合スペースや休憩スペースとして設える。新本庁舎市民プラザの利用状況や、文化センターでのイベント告知の情報を得られるよう、デジタルサイネージを設置し、「やわたテラス」全体で活動が展開するきっかけが生まれる空間となるよう工夫する)▽連絡通路(新本庁舎2階と同じレベルで行き来ができる連絡通路を2ヵ所設ける)▽デジタルサイネージ(壁面にデジタルサイネージを1面設置し、防災・市民広場だけでなく市民プラザや文化センターでのイベント情報等を発信できるようにする)−。
景観計画をみると、ランドスケープと建築が一体になった有機的な形態と、素材感を活かしたシンプルな表情で、三方を既存建物に囲まれた敷地に馴染むデザインとする。多方向からのアクセスを考慮し、床スラブや屋根のラインに緩やかな曲線を用いて、複数の正面を持つ計画とする。
内外装計画をみると、多目的スペースには主にガラス建具を用いることで、屋内外で活動の様子が見通せて一体利用しやすい計画とする。壁や天井は自然な風合いが感じられるコンクリート化粧打ち放しとし、また曲線で全体を構成することで自然との調和を図る。市民ひろばはインターロッキング舗装とし新本庁舎ピロティとの繋がりを設け、プロムナードの一体感を高める。内装は、1階はコンクリート仕上とし、屋外と同様に下足で利用できる仕様とし、2階は多目的スペース4の室内と屋外デッキの仕上レベルを揃えることで、屋内外を一体利用しやすい計画とする。
ユニバーサルデザインに配慮した計画とし、敷地出入口から案内所(管理事務所)まで、視覚障がい者用誘導ブロックを敷設するほか、バリアフリー対応エレベーターや車いす使用者用トイレ、蝕知サインや点字サイン、デジタルサイネージ等を整備する。
テラスのランドスケープデザインは、整備前の広場で行われていた地域のお祭りやイベント、防災啓蒙活動などが従来通り開催ができるような空間として、新本庁舎のプロムナードとつながる舗装の広場を再構築する。またグラウンドレベルの植栽が地続きにつながる地盤として、これまでの広場にはなかった新たな立体的な生態系を生み出す。広場の新たなアイコンとなる大きな芝生広場と樹林帯を擁する地形によって緑豊かなテラスを形成。西側の建築に対して東側の緑の受けとして、心地よい広場の領域を生み出す。
広場の東側の領域(視線の受け、緑地としての受け)として、グランドレベルから2・65mを最大高さとした空間を包み込むランドフォームを形成する。ボール遊びや軽運動が可能な2%の勾配範囲と着座・腰かけ・寝そべりに適した1:3〜1:7までの勾配範囲を設定し、市民の多様なアクティビティを誘発する。