八潮市で発生した道路陥没事故に関する原因究明委員会(藤野陽三委員長)は19日、4回目となる会議を開催し、その後、報告書を大野元裕知事に提出した。報告書では事故の経緯や道路および地下埋蔵物の概要、点検などに関する検討結果を示すとともに、「検討の視点」と「事故の教訓を踏まえた留意点」を提言した。
委員会は2025年1月28日に八潮市内の主要地方道松戸草加線中央一丁目交差点内で発生した道路陥没事故を受け、事故の原因を工学的かつ客観的な見地から究明することを目的として設置された。
25年3月14日に第1回会議を開催。その後、証拠品収集や化学分析試験、構造解析や模型実験などを進め、現地調査や委員間の意見交換会、関係者への意見聴取を行い、26年2月19日の第4回会議で最終報告書について確認を行い、大野知事へ提出した。
報告書では、県が21年度にチュウ4マンホールからチュウ3マンホールまでの区間において実施した点検・調査等に関する検証が示された。
調査では、浮流式テレビカメラ調査機器が採用したものの、陥没直下の下水道管の映像は、水しぶきや流れの影響で取得できていない状況だった。
これに関して「映像で確認できる黒い線を鋼材と判断するとともに、管頂部にみられる白い帯状の部分を硫化水素によりコンクリートが劣化した二水石膏と判断し、これを鉄筋露出と解釈して『ランクA』と評価できたのでは」と報告。また、「映像が取得できなかった区間も含め、マンホール間全体で『ランクB』と評価されていた。もし、点検困難箇所もしくは 腐食のおそれの大きい箇所として選定し、通常以上の意識を払って検討すれば、管内部の腐食・損傷のリスクの高まりを推測できた」とした。
一方で、管背後の空洞に関する点検・調査に対しては「空洞が地表近くに上昇することを予測・観測し、陥没を未然に予測することが可能であったとはいえない」と評価。また、適切な措置の可否については「大口径で常時流量が多く流れを止められない、かつ流速が速いという流況で適用可能な管路の補修技術はなかった」としている。
こうしたことを踏まえ@映像未取得区間も含めた局所的評価A映像未取得区間における再調査B埼玉県が定める「点検困難箇所」の見直しC映像未取得区間に関するリスクコミュニケーションDシールド構造を考慮した評価基準の整備E過去の調査結果や防食工事実績等の蓄積・共有F施設管理における体制の充実G点検・調査等に関する技術開発H補修・補強に関する技術開発―の9項目を留意点として提言した。
報告書の提出を受け大野知事は「技術的な観点からさまざまなな意見をいただいて、陥没のメカニズムが明らかになった。特に点検のあり方については、改善の余地があるのではないかという指摘があったと受け止めた」と話すと、「点検の仕方とか方針とか、そういったものがまだ確立されていない。これを国へ提言し、他の都道府県にも発信をして、今回の事故が日本で最後の事故となるよう、必要な措置と、下水道だけではないインフラの老朽化に対して、危機感を共有することに務めたい」と述べた。さらに「よりよい手法の確立や今後に向けて、新たな技術を確立するための検討の協力を進めていくことが私たちの責任だと思う」と考えを示している。
藤野委員長は「21年度の点検で損傷箇所はBという評価だった。報告書ではAとすることはごく自然な評価だが、さまざまな理由からBと評価したこともやむを得ないのではないかとしている」と話すと「今後、点検のあり方などについて新しい技術を議論していくことが必要であると報告した」とまとめた。
提供:埼玉建設新聞