富山県生コンクリート工業組合(濱田一夫理事長)がこのほど開いた2025年度「経営者技術講演会」で、富山県生コンクリート品質管理監査会議議長の伊藤始富山県立大学工学部教授が、「自治体における橋梁の維持管理の効率化・高度化に向けて」を演題に講演した。
伊藤教授はまず、橋梁点検の課題として、道路法改訂による道路構造物の定期点検の義務化、地方自治体では人手不足と財政的制約で、点検の負荷大による補修の後回しが背景にあると指摘。富山県が管理する橋梁は3479橋、富山市が2303橋であり、このうち、橋長2メートル以上15メートル未満の小規模橋梁がそれぞれ75・5%、89・4%と多くを占めると報告した。
さらに、伊藤氏もメンバーである北陸SIPの活動を紹介し、「国土交通省と土木研究所からの委託(国家プロジェクト)である戦略的イノベーション創造プログラム(SIPの一つ。北陸を中心とした9つの高等教育機関が連携し研究体制を構築している。地方自治体に向けたインフラ維持管理の効率化に関する技術実装と人材育成支援に取り組んでいる」と説明した。
北陸SIPの研究成果として、短支間橋梁の健全度に応じた簡易的な管理フローの内容を解説。3判定の事例を写真も交え紹介した上で、「2判定から3判定になるまでの期間を防錆剤、撥水剤を使って延長できる、延命化につながる簡易補修を認識することが大事。自治体とのヒアリングでは、橋梁下面へのアプローチ(高所、水面高)の容易さにより、補修の可否を判断することも重要と伝えている」と話した。
無料で使えるインフラ維持管理のデジタル教育コンテンツの構築に関しても紹介し、「北陸SIPのポータルサイトで、活用できる技術のトピック、教育コンテンツの動画を公開しており、誰でも無料で使用できる。06年秋ごろに向け、デジタル版手引き・タイル型も無料で配布する予定」とPRした。
伊藤教授と北電技術コンサルタントが共同研究し、土木研究所で実験を行っている「床版橋の内部欠陥の可視化」についても解説し、「ドローンに搭載したサーマルカメラで点検の効率化を目指している。アスファルト舗装下面の空洞を、通行止めすることなく遠方から簡易に見つける技術で、点検時間と労力を削減できる」と強調。欠陥判定のイメージや方法、可視化の手順などを紹介し、「モデルケースへの適用では、健全部と欠陥部を概ね確認することができた」と報告した。
アスファルト敷設時の要素実験結果では、「欠陥が厚いほど、欠陥上部に熱が残りやすく、欠陥部と健全部の表面温度差が大きい。欠陥がある時は断熱効果が発揮され、欠陥上部の温度は健全供試体より高くなり、欠陥下部は低くなることを確認した」と説明。
最後に伊藤教授は、「50〜100年後に廃止される橋をできる限り減らすため、次の世代への課題を減らすことが必要。材料の品質を確保し、施工を確実に行うことで橋梁を長持ちさせる。点検と補修にお金、人、時間を掛けすぎないことも重要。利便性低下と負担金増加をどこまで受け入れるか。自分事として考える時期になっている」と結んだ。