さいたま市は地下鉄7号線延伸事業に関連する計画の深度化を図る。本年度にまとめた「中間駅周辺地区まちづくり」や「岩槻駅周辺まちのあり方ビジョン」で打ち出した内容を実行していくため、より具体的な施策方針などを2026年度内に具体化する考え。同時に、延伸区間(浦和美園〜岩槻)全体のまちづくりコンセプトなどの検討にも取り掛かる予定だ。
約7200mにわたる延伸が実現した際に新設する中間駅と、延伸区間終点部に当たる岩槻駅周辺のまちづくり方針をこれまで検討してきた。策定した計画を基に具体的な方策を詰めていく。
中間駅に関しては約120haのまちづくりを検討中。土地区画整理事業による整備を念頭に置いており、今後は地元との合意形成や事業の基本計画検討に取り組む。基本計画では街区・画地・道路・公園・緑地・排水施設・公益施設・造成などの方針を定める予定。
本年度に策定した「中間駅まちづくり方針」で示した方針を実行するための具体的な施策検討も図る。まちの顔となる駅前空間、商業・業務エリアの機能と施設なども固める見込みだ。官民連携による整備を視野に入れており、必要なプラットフォーム組成も進める。
岩槻駅周辺の将来像を定める「岩槻駅周辺まちのあり方ビジョン」の深度化も必要。同ビジョンでは駅周辺の課題とそれを解消する施策の方向性を打ち出しており、今後はより具体的な施策を検討する段階に入る。
特に駅前広場については28年度末までに基本計画をまとめる意向を示しており、26年度は現行施設の実態調査や必要な施設と規模の検討、再整備後に関する基本方針の策定などを進める。
こうした計画の深度化と合わせて、過去に策定した「浦和美園〜岩槻地域成長・発展プラン(基本計画・行動計画)」改定にも着手する。
同プランは当初、地下鉄7号線延伸の事業性を向上させる目的で策定していた。これまでの検討で事業実施要請に必要な採算性の基準をクリアする目途が立ったため、次の工程へ事業が進むよう計画を改訂する。
これまで中間駅、岩槻駅のまちづくりは相互に連動しつつ個別計画を策定していたが、プランを改訂することで延伸区域全体のまちづくりコンセプト、実行すべき施策などを所管する計画とする方針。
市の東部地域では南北方向に移動できる鉄道網が不足しているが、地下鉄7号線が延伸されることで欠けていた鉄道都市軸が補完されることになる。市内で東西南北を移動できる軸が完成することから、都市全体の状況を踏まえた大きな視野から新プランを練る。
地下鉄7号線延伸と直接的な関連性はないが、岩槻駅周辺でこれまで推進してきたまちづくりも継続する。延伸の関連事業と並行して「岩槻駅周辺リノベーションまちづくり推進業務」も行い、空き店舗活用など地域の価値向上を目指す。
■市議会では採算性の基準達成を報告
これまでの検討では、事業を実施した場合に都市鉄道等利便増進法の適用目安を満たすか否かが最重要の要素だった。市の定例会では「同法の適用目安をクリアする目途が立った」と報告が行われている。
25年度の算定結果によると、概算事業費は約1440億円(25年4月価格)。速達性向上計画の認定から開業までの概算工期は14年となった。費用便益比については1・2、収支採算性が27年だった。
鉄道が延伸されれば県東部地域と都心とのアクセス性が向上し、沿 線にある埼玉スタジアム2〇〇2利用者の利便性も向上。災害時には代替路線機能を充実させるなどの効果も見込まれる。
こうした方向性をまとめた「速達性向上事業に関する計画の素案」をまとめて、年度末までに市と県の連名で事業実施要請を行う予定だ。要請先は埼玉高速鉄道(営業主体)、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(整備主体)となっている。
提供:埼玉建設新聞