野洲市は、遊休地や老朽化した公共施設が位置するJR野洲駅南口の市有地(約2・6f〔A〜Eブロック〕)の利活用に係る野洲駅南口周辺整備構想を改訂した。最初の構想策定から10年以上が経過し、社会情勢や市民ニーズが変化しているため必要機能の見直しを行ったもの。2026年度(令和8年度)は、改訂した構想に基づき、詳細な基本計画を策定する。野洲文化ホール(休館中)・野洲文化小劇場などが立地する最も面積が大きいDブロック(約1f)の機能については、「人流創出」と「文化施設のあり方」の双方の観点から絞り込んだ▽文化ホール大規模改修▽エンターテイメントアリーナ整備▽企業オフィス誘致と新小劇場整備―の3つの案をベースに検討を進める。
野洲駅南口周辺整備事業の対象エリアは同市小篠原の市有地(約2万5800方b)。市道や軌道敷により5つの街区に分かれている。各街区の土地面積・状況は▽Aブロック(約5400平方b)=仮設ロータリー跡地▽Bブロック(約4200平方b)=暫定駐車場、学童保育所▽Cブロック(約2000平方b)=交番、公衆トイレ、駐輪場▽Dブロック(約1万0900平方b)=文化ホール、小劇場、幼稚園、コミュニティセンター▽Eブロック(約3300平方b)=駐車場、自治会館、消防団詰所―。Aブロックには(仮称)駅前パークモールを整備、この効果を高めるため、周辺のBブロックからEブロックまでを一体的に有効活用するという25年度(令和7年度)市の施政方針を示し、地区全体でのにぎわい創出を目指す。
3月改訂の構想によると、A・Cブロックは「駅前にぎわいゾーン」として、駅前空間における市民広場を整備し、駅に最も近い空間の利便性向上を目指し適切機能を配置する。B・D・Eブロックは「活性化ゾーン」として、新たな交流や活動を生み滞留・滞在につながる施設の整備を目指す。想定する機能の配置は▽Aブロック=市民広場、商業機能、交流機能等▽Cブロック=商業機能、宿泊機能、交流機能等(野洲駅至近のブロックとして、既存の交番、駐輪場等も含めた機能更新および拡充を検討)▽Dブロック=集客の核となる機能、業務機能、文化機能、交流機能等▽B・Eブロック=業務機能、商業機能、宿泊機能、交流機能、駐車機能等(Dブロックの機能との連携・補完も検討)―。
今後の予定は、同構想で整理した課題や検討事項(各ブロックでの機能・施設の具体化、事業手法、事業条件)について市で検討を進め、26年度(令和8年度)に基本計画を策定する。その後、各事業・整備について、官民連携手法による民間活力導入も含め、必要に応じて官民で協議・検討を重ねながら計画を具体化していく。準備等を経て、構想段階での整備着手時期は、Aブロックが28年度(令和10年度)、B〜Eブロックが29年度(令和11年度)を想定する。
基本計画の策定にあたっては、施設規模および配置を含めた施設計画、また事業スキームやスケジュールを検討し、実現可能性を高め、事業の推進を図ることを基本方針に、Dブロックにおける3案を中心とした施設計画、概算事業費、資金調達手法の検討を重点事項とする。これらを踏まえ、5ブロックそれぞれについて▽施設計画、概算事業費、資金調達手法の検討(導入機能、配置案、概算事業費およびそれらを踏まえた資金調達手法を検討)▽事業スキームの比較検討(複数スキームを比較検討し、最適なものを選択)▽事業スケジュールの検討(施設計画や事業スキーム等を考慮した各ブロックごとの事業スケジュールの作成)―を行う。併行して、Aブロックでの社会実験を企画・運営し、にぎわい創出を検証することで基本計画へ反映する。
Dブロックに配置する機能は、「活性化ゾーン」への人流を生み出し、野洲駅南口周辺全体に、にぎわいを波及させる重要な役割があると考えられているため、絞り込まれた3案をベースとして検討。26年度(令和8年度)にDブロックの整備方針を定め、対象エリア全体の整備効果を高める基本計画を策定していく。
『文化ホール大規模改修』案では、長く市民に活用された文化機能を維持することは重要であり、文化ホールのあり方を検討する必要があるが、老朽化が進んでいる状況。改修設計を行った結果、想定以上の改修費用が見込まれることに加え、バリアフリー改修が十分に実施出来ない等の課題が明らかになった。26年度(令和8年度)は、これらの課題を踏まえ、改修による費用対効果と人流創出への寄与という面での検証を行う。
『エンターテイメントアリーナ整備』案では、新たな交流や活動を生む施設として想定されるが、近年のアリーナは、スポーツや音楽興行を観る機能に加え、MICE(※)機能や市民利用の側面を併せ持ち、プロスポーツチームの観戦から防災機能を含む市民利用まで、幅広いニーズに対応出来る事例が増えている。こうした事例を参考に検討を進めていくが、一方で整備費用等が課題となるため、民間資金の活用や補助金の活用可能性を含め検証する(※MICE…多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称〔企業等の会議や国際機関・団体・学会等が行う国際会議、展示会等〕)。
『企業オフィス誘致と新小劇場整備』案では、日常的な人流確保を目的とした企業オフィスの誘致について、市内外からの一定の企業ニーズは見込まれると想定されることから、関係者へのサウンディング調査を通してニーズを把握した上で、実現性について検討する。また、新たな小劇場を整備することで、市民の文化活動拠点を確保できるのではないかと考えられている。
野洲駅南口周辺整備構想改訂支援業務および野洲駅南口市有地における社会実験支援業務は、合同会社デロイトトーマツ(東京都千代田区)。
提供:滋賀産業新聞