神奈川県は、県民ホールの建て替えに向けた基本計画を2026年度内に策定する。施設整備や舞台設備の方向性、整備費など設計の前段階となる内容が示される予定で、27年度以降に設計に着手したい考えだ。一方、県民ホールと近隣の産業貿易センタービル、シルクセンターを一体的に建て替える可能性もあることから、整備手法などについてはこれら3館の動きと整合性を図りながら検討していく。
県民ホールの建て替えに当たっては25年度に基本構想を策定。新ホールの延べ床面積は2万8500平方b〜3万4050平方b程度で、客席2000〜2400席程度の大ホール、600〜800席程度の中ホール、美術展示などができるギャラリーを設ける。
基本計画では新ホールの文化事業や運営計画、施設整備計画、舞台設備計画、収支計画、整備費などを示す。舞台芸術や建築の専門家からの意見聴取、利用者へのヒアリング、類似施設の視察などを行いながら、構想で示した内容をより具体化していく。策定支援業務は空間創造研究所(東京都渋谷区)が担当する。履行期間は27年3月24日まで。
〜整備手法は3館の動向踏まえ検討〜
基本計画では県民ホール単体として必要な機能などを示すが、近隣の産業貿易センタービルとシルクセンターを合わせた3館を一体的に建て替える可能性も明らかになっている。県と横浜市、これら二つの施設の地権者はこれまで4回にわたりまちづくりの勉強会を開き、建物のイメージや整備手法などについて情報交換してきた。
県民ホールと2施設を一体的に建て替える場合、国庫補助を活用できる可能性があること、広場をより多く整備できることなどのメリットがある。ホール単体の建て替えとならない可能性も出てきたことから、整備手法については「3館の建て替えに向けた動きをにらみながら検討していく」(文化課担当者)としている。対象エリアの面積は計約2万2000平方b。
〜建設費高騰に懸念も〜
基本構想の策定に向けた委員会では、全国的にホールや劇場の建て替えで入札不調が発生するなど、計画の見直しを余儀なくされる事例が相次いでいることに対して懸念の声が上がった。
新県民ホールの建設費は約376億円〜527億円を想定。試算に当たっては23年度の予備調査で設定していた132万円から、建設費の上昇を踏まえた155万円(いずれも税込み)の平米単価を設定した。施設規模を3万4050平方bとして平米単価155万円を用いた場合、最大の527億円となる。
一方、基本構想で類似事例として示した宮城県の国際センター駅北地区複合施設(延べ約2万7400平方b)では、25年12月の基本設計の中間案時点で概算工事費548億円、平米単価200万円まで膨らむ想定も示されている。
2月の委員会で佐藤慎也日本大学理工学部教授は「今後見えてくる現実的な数字をしっかりと考慮しながら、諸室などの検討を進めてほしい」とコメント。県としても全国の事例を踏まえながら精査するとしている。
提供:建通新聞社