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建通新聞社(中部)
2026/04/14

【愛知】クローズアップ 建機遠隔化を見据えた実証 自社プラントで開始 加藤工務店

 「地域建設業」に適したDXのカタチ―。ORAM(大阪市住之江区)を代表企業とするグループは、国土交通省の「中小企業イノベーション創出推進事業」で補助対象として採択を受け、建機遠隔化・自動化・省人化システムの実装を見据えた実証を進めている。愛知県瀬戸市に本社を置き、土木・舗装工事を中心に手掛ける加藤工務店もその一員として取り組みに参画。3月から瀬戸市にある自社のアスファルト合材プラントで実験を開始した。地域建設業の実態に即した、DXの在り方を探る加藤工務店の取り組みに迫る。
 「現場状況に影響されず、継続的に作業回数を重ねられるこの現場が、実証段階における最適なフィールドに」。こう話すのは、加藤工務店で先頭に立ってDX推進の旗を振る加藤桂太専務だ。大学院修士課程を修了後、外資系コンサルティングファームや官民ファンドなどを経て、同社にUターンで入社。これまでのキャリアで培った知識・経験を生かし、同社のDXをけん引している。
 実証実験の現場に選んだのは、アスファルト合材プラントで発生するがれき類を処理する重機作業。この背景として、狭あいな施工場所、施工規模(土量)の制限など、いわゆる「都市土木」が抱える重機作業の効率化に対するハードルがある。一般的に、規模が大きいほどICT施工の効率は高まるとされ、都市土木現場においてICT施工が導入されにくい原因の一つとなっている。オペレーター人材の不足という現状もあり同社は、自社プラントで完結する空間を実験のフィールドに選んだ。
 実験では、既存のバックホウにORAMが開発している後付け型(レトロフィット)の遠隔化用装置を搭載。ティー・エル・エス(東京都中央区)が通信環境を整備し、プラント内の事務所にコックピットを設けて、加藤工務店の重機オペレーターが作業を実践している。現時点では、「軽微な装置の不具合や作業安定性、耐久性の面で課題がある」といい、グループのメンバーに共有し、改善を加えている。後付け型の利点として、機種・メーカを問わず載せることができることや導入コストの抑制がある。加藤さんは、「大規模な投資ができる大企業と中小企業では、事情が全く異なる」指摘する。「コストが新しい技術・工法などの普及への大きなハードルになっている。その点、後付け型は中小企業の導入可能性を拡げる」。
 23年12月の新しい自社アスファルトプラント完成以降、実証実験の準備に加え、合材受発注および出荷時に使うWEBアプリの開発などに取り組んできた。これらの取り組みを後押しするのは、「地域課題の解決に資する新しい技術やアイデアを世の中に広げていきたい」という想いだ。実証実験についても「公益性のある取り組みに昇華させたい」と意気込む。27年12月までの実証期間中、実験の場を開かれた空間とする構想もある。同業者や未来を担う子どもたちなどの見学を受け入れる体制づくりを進めている。業界外へも視野を広げ、「土木のイメージが変わった」と思われる空間づくりを目指す考えだ。
 人手不足が深刻さを増す中、人材確保への取り組みに加え、DX推進をはじめとした生産性向上が急務となっている。加藤工務店の取り組みは、「中小建設業のDXの在り方」を探る一つのヒントになるかもしれない。
提供:建通新聞社