北海道建設新聞社
2026/06/09
AI交通誘導システムで警備業の未来を切り開く/大光警備の大八木貴厳社長
建設現場へのAI実装が加速する中、大光警備(本社・小樽)は最先端のデジタル技術を駆使し、現場の安全と省力化の両立を実現するAI交通誘導システムの導入を進めている。大八木貴厳社長は、警備業の新しい形になると期待を寄せる。
同社が導入しているのはAI交通誘導システム「KB−eye」。KB−eye(本社・山梨県昭和町)が開発し、全国交通誘導DX推進協会を通じて製品をレンタル・リースする。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)登録技術だ。
大光警備では一昨年に芦別市内で試験導入し、昨年から本格導入。交通制御と交通誘導の2つのシステムを用意する。札幌市厚別区内の道路工事現場では交通誘導システム「KB−eye for 交通誘導警備KO2−06」が稼働し、通行車両に円滑な車線変更を促している。
KB−eyeは交通誘導業務をAIで制御するのが特長だ。AIがカメラの映像を常時監視し、車両を検知すると視認性の高いLED看板の画面を案内表示から警告表示などに切り替える。検知距離や表示内容は任意に設定できる。
片側交互通行規制の場合、通常は工事区間の両端に交通誘導員が立ち、停止合図を出して通行車両に待ってもらう。現場勤務も経験する大八木社長は「交通誘導員は道路上で自分に向かってくる車に身をさらす。停止合図を出しても減速が確認できるまでは不安と緊張の連続だ」と心情を語る。
人と車両が接触する危険を回避できる利点は元請け、交通誘導員、ドライバーそれぞれに心理面で安心感を与え、それが安全な業務にもつながる。道内大手ゼネコンからも高く評価され、引き合いが来ているという。
■新たな専門職オペレーター
人材不足の中で交通誘導員を省力化できる利点も大きい。3人を配置していた現場は、新たな専門職となるオペレーターを含め2人だけで済む。オペレーターは緊急時にLED看板を手動操作し、通常時は通行車両の監視に専念する。
社内の安全水準も底上げされた。大光警備ではKB−eyeの導入に当たり専任者を配置。システムの操作には資格が求められるため、複数の有資格者を育成する。その過程で社員の安全意識が飛躍的に高まった。
大八木社長は「本州では求人にも効果が出ているようだ。警備員ではなくオペレーターとして募集し、大学新卒者が応募してきたという。当社では警備も覚えてもらうが、何十年も交通誘導だけをするのではなく、現場をコントロールする職種としてローテーションを組める」と期待する。
■志望者集まる魅力的な業界へ
導入のきっかけは、大光警備が所属する全国警備業協会や北海道警備業協会の行事での情報交換だ。「人材不足の中でDXは絶対に必要になると直感した。警備業は社会のデジタル化に10年、20年遅れているといわれる。北海道はさらに遅れている。このままではいけない」と警鐘を鳴らす。
警察庁が2025年にまとめた警備業の省力化投資促進プランの中でも警備現場でのAI技術の活用促進が明記された。今後はAIなどを用いた交通誘導システムの導入が進むことになる。
今春からは自社のバックオフィスにも新たなシステムを導入。警備員の配置計画立案などにAIを用いる「KOMAINU」が業務をサポートしている。警備日報の電子化も進める。
後志管内は北海道新幹線、高規格道路、泊原子力発電所関連の大規模な工事現場が多く、同社の交通誘導員も各現場で業務に携わる。「業界が強くなれば警備のサービスも上がり、より質の高い業務の提供ができるようになる。魅力的な業界として人が来るようになる」。警備業全体の未来を見据える。