6月は「土砂災害防止月間」―。
2026(令和8)年度(第44回)土砂災害防止「全国の集い」in滋賀が11日、大津市打出浜の滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(大ホール)で開催された。国土交通省と滋賀県との共催による全国会議。一昨年、伊吹山での土砂災害を経験した滋賀県で、今後の土砂災害に対する取り組みを全国に向けて発信した。
開催テーマは『近代砂防発祥の地 滋賀からの警鐘』〜田上山砂防150年の歴史、変わりゆく土砂災害の要因〜。過去の歴史的背景と気候変動に適応する現在の視点を踏まえ、持続可能で効果的な土砂災害対策と、変化する要因に対応する未来の砂防のあり方を共に考えた。なお、全国会議の開催は、滋賀県では40年ぶり。
当日は、開会式典における主催者や来賓らの挨拶、土砂災害防止功労者表彰式や、筑波大学人文社会系准教授の渡部圭一氏による基調講演(「砂」と暮らした地域の歴史に学ぶ)などが行われ、パネルディスカッションでは北海道大学客員教授で元NHK解説主幹の松本浩司氏をコーディネーターに、パネリストとして里深好文氏(立命館大学教授)、古市秀樹氏(田上郷土史料館員、元田上山砂防協会副会長)、橋滝治郎氏(ユウスゲと貴重植物を守り育てる会会長)、尾崎康人氏(滋賀県県土整備部流域政策局砂防室長)を迎えた。コメンテーターは國友優氏(国土交通省砂防部長)が務めた。
気候変動による集中豪雨の増加に伴い、日本各地で激甚な土砂災害が頻発し、人的被害が毎年発生するだけでなく、土砂災害の発生要因やリスクが複雑化している。
滋賀県では、砂防事業に着手してから150年が経過し、近代砂防発祥の地としての歴史を刻んできた。古くは奈良・平安時代からの乱伐等による「人為的な裸地化」は、県内各地の山林荒廃を招き、その結果として、長期間にわたる土砂流出が、浸水被害だけでなく天井川の形成など地域の安全や生活基盤に深刻な影響を与えた。また、田上山では、明治時代から試行錯誤を重ね、山腹工の技術を確立するとともに、堰堤や流路工などの砂防事業が実施され、今もなお地域の安全に寄与している。
一方、伊吹山では、シカの食害等による植生衰退や「自然現象による裸地化」が起こり、美しい草原が短期間のうちに侵食をうけた地表面に変化し、浸み込まない雨水が地表面を流れることで、24年(令和6年)7月には、3度の土砂流出を引き起こし、山麓の集落に被害をもたらした。
これらの土砂災害の防止には、その時代に必要とされた技術が示され、地域の特色を踏まえた多様な課題への取り組みとして重要なものであり、技術が生まれた歴史的背景と、今後、気候変動に順応して変わっていかなければならない今の我々の立場を踏まえ、持続可能で効果的な対策を共に考え、変わりゆく土砂災害の要因に備える未来の砂防のあり方を発信することを目的に「全国の集い」in滋賀が開催された。
建設産業関連団体からの後援は▽一般社団法人・滋賀県建設業協会▽一般社団法人・滋賀県測量設計技術協会▽一般社団法人・関西地質調査業協会▽一般社団法人・建設コンサルタンツ協会近畿支部▽一般社団法人・滋賀県建設コンサルタント協会―など。
提供:滋賀産業新聞