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西日本建設新聞社
2026/06/18

【熊本】インフラ管理にフィジカルAI導入 九州地方整備局

 近年、インフラの老朽化が全国的な課題となる一方で、その維持管理を担う技術者は不足しつつある。特に少子高齢化の進行によって、将来を見据えた新たな維持管理体制の構築が急務となっている。こうした中、九州地方整備局が進める「フィジカルAI」の社会実装は、インフラ管理の未来を示す取り組みとして注目を集めている。

■AIロボットが自立点検
 5月28日、熊本市の内田川排水機場で実施されたのは、人間と犬型ロボットが一つのチームとなって行うインフラ点検だ。河川分野では国内初となる社会実装であり、土木研究所の支援のもと実現した。
 現場で活躍したのは、米ボストンダイナミクス社が開発した全長約1b・重量約32`の四足歩行ロボット。LiDARや高倍率ズームカメラ、360度カメラ、赤外線カメラ、マイクなどを搭載し、人間に代わって施設内を巡回する。
 約30分かけて排水機場内を歩き回り、圧力計や温度計の数値を読み取ったほか、配管の異常音の有無も確認。収集したデータは自動的に記録される。巡回は、3Dマッピング技術や施設内に設置された二次元コードを活用し、自律的に位置を把握しながら移動する。階段や段差も難なく乗り越える姿は、実用技術であることを感じさせる。

■「代替」ではなく「協働」の発想
 興味深いのは、ロボットが人間の代替ではなく、人と力を合わせて働く存在として位置付けられている点だ。従来の産業用ロボットは人と隔離された空間で働くことが前提だったが、フィジカルAIは、人と同じ空間で協働する。ロボットが巡回やデータ取得を担当し、人間は、扉の開閉や機器の分解整備、異常時の判断などロボット単独では対応できない高度な作業を担う。まさに適材適所の役割分担である。

■人材不足に挑む次世代の維持管理
 排水機場では、毎年実施する年点検に約10人の技術者を必要としているが、将来的に人員不足が懸念されている。このような状況に対し、九州地整は今後10年で点検作業の約3割を自動化する目標を掲げる。もっとも、すべてをロボットに任せられるわけではない。しかし、防災施設を支える人材の不足が避けられない中、ロボットとの協働は、これからの維持管理の新たな選択肢となっていくのかもしれない。
 今回の社会実装について、九州地整の房前和朋インフラDX推進室長は「目視点検はロボットで十分対応できるレベルに達している」と評価し、「今後は蓄積したデータをAIに学習させることで、更なる機能の拡充を目指したい」と展望を語った。

提供:西日本建設新聞社
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