秋田市市場管理室は、卸売市場の再整備に関し、現地での再整備と、1月にイオンタウン株式会社が外旭川地区まちづくり新案で示した北側農地への移転案を比較検討している。北側に移転する場合、DB方式で早ければ9年度に要求水準書を公表し、事業者公募を開始するスケジュールを想定。概算事業費は150億円で、市がもともと示していた案に比べ膨らむが、長期事業収支では優位だと確認し、「一定の合理性がある」と捉えている。
市場を北側農地に移転する場合の想定スケジュールによると、今年度に基本計画を改定し、9年度に要求水準書を公表して事業者公募を開始するとともに、造成設計等に着手する。10年度に事業者を選定して造成工事(〜11年度)や、建設工事の設計(〜11年度)に着手。11〜13年度にかけて建築工事を実施し、同年度の供用開始を想定する。
市はイオンタウンからの提案の中で最も実現性が高いと判断した、市が現市場北側の農地を地権者から取得して施設を整備する「事業スキームB」を精査し、もともと市が提案していた現敷地での再整備案(案4)を比較検討している。その途中経過を18日、市議会教育産業委員会に報告した。
北側農地移転案の概算事業費は150億6,179万5,000円。内訳は建築工事費が93億926万5,000円、解体工事費が27億2,160万円、造成工事費が14億4,000万円、設計・工事監理費が1,394万2,000円、用地取得費が6億6,000万円、関連経費が9億1,698万8,000円。
このうち建築工事費については、イオンタウンに算出根拠の提出を求め、それをもとに必要な施設規模や機能が充足しているか確認した。北側農地に移転する場合、建築工事費の内訳は青果棟(7,000u)が31億4,374万5,000円、水産棟(5,000u)が22億4,532万円、花き棟(2,500u)が11億2,266万円、管理棟(3,300u)が11億5,885万円、物流棟(1,300u)が5億6,199万円、荷捌き場が3億2,670万円、外構工事が7億5,000万円。
主な仕様は鉄骨造平屋建て(管理棟は2階建て)、屋根はガルバリウム鋼板ダブル折板屋根(断熱材充填)、外壁はカラーガルバリウム鋼板、設備は電気設備、給排水衛生設備、消防設備、空調など、冷凍・冷蔵庫がプレハブ式を想定。イオンタウンは類似する民間商業施設の建築実績(面積単価)をベースに、床荷重の割り増しや温度管理、衛生対応などを付加して面積単位を市場棟(青果、水産、花き)148万5,000円、物流棟約143万円、管理棟(事務所・店舗複合)約116万円とした。
6年度に基本設計を行った花き棟の面積単価は約157万円/坪だったため、市は実勢価格に比べ著しく安価でなく、一定程度の合理性があると捉えている。イオンタウンからは、今後の物価上昇リスク等を勘案し、民間工事の発想を取り入れることが望ましいと提言されている。
再整備を行ってから30年後を想定すると、案4で整備した場合は建設から80年が経過し建て替えが必要となり、北側農地に移転した場合は外壁・設備等の大規模改修が必要な時期を迎える。同規模の施設を維持する前提で、再整備から50年間の長期事業収支シミュレーションを行った。
その結果、案4の場合は市債の元金償還が始まる令和16年度以降の単年度収支がおおむねマイナスとなり、令和45年度の建て替え工事後はさらに収支が悪化するため、市場使用料のさらなる増額などについて検討が必要となる。一方の北側農地移転案では、令和24年度に公営企業施設等整理債の償還が完了し、翌年度から単年度収支がプラスに転じると想定されている。再整備後の当初は市の財政負担は大きくなるものの、令和44年度の大規模改修後には案4よりも財政負担を抑制することが可能としている。
以上のことから、北側農地への移転整備は概算事業費が現市場敷地での再整備案よりも大きくなるが、ランニングコストなどを考慮した長期事業収支では優位と確認し、市は一定程度の合理性があると捉えている。案4と北側移転案のどちらにするか、決定はこれから。今後、必要な規模や機能を事業者と協議し、事業費の増減要素を整理したうえで、整備方針の決定を急ぐ考え。
提供/秋田建設工業新聞