名古屋市上下水道局は、本年度に「上下水道長期ビジョン(仮称)」を取りまとめる。同ビジョンを経営プランの上位計画として位置付け、2050年代を見据えた長期的な事業運営方針を示す。この方針を基に、施設の再編と機能向上、人材の育成などを進める考え。人口減少や経営環境を始めとした社会環境の変化に備え「安心・安全で安定した持続可能な上下水道サービス」の実現を目指す。
名古屋市が行った推計によると、市内の人口は28年度の計画値232万人から見て、44年度に約1〜3割減少する見込み。長期ビジョンの計画期間として定める50年代には不確定な事業環境が想定されるため、柔軟な視点で事業運営を考える必要があるとした。
6月22日に開いた上下水道審議会(会長・小泉明東京都立大学都市環境科学研究科特任教授)では、同ビジョンでも軸となる、今後の事業運営の方向性が示された。方向性は▽資産▽人材▽財源▽市民理解の促進―の四つに大別。強靱な施設と持続可能な財政基盤・事業運営体制を構築するとともに、市民との協力体制を深化させるとした。
各分野を具体的に見ると、「資産」では、施設の再編による規模と配置の最適化、多様化・激甚化する災害への対策、施設整備に合わせた機能向上などを盛り込んだ。計画的な改築・更新・点検による維持管理だけでなく、集約と分散による下水道施設の再編、上下水道一体となった地震対策などに取り組むとした。
「人材」では、5月に戦略的パートナーシップ協定を結んだ名古屋上下水道総合サービス(NAWS、名古屋市熱田区)とともに民間事業者との協力体制を強化して、安定した事業運営体制を構築するなどの考えを示した。また「財源」では、独立採算制の原則を基礎に、資産の維持に必要な費用も見込んだ料金収入の確保に努めるとした。「市民理解の促進」については、上下水道事業に対する市民の認識の度合いはさまざまだとした上で、理解度の段階的な引き上げを目指すとしている。
審議会委員からは、「収入を得るような規模で上下水道の施設を有効活用できないか」といった意見や、「市民が主体的に参画するような取り組みが必要」といった意見が出た。また、人材の確保・定着について「DX化の推進は避けては通れない。ITを活用した業務改革に取り組む旨を記載してほしい」などの声があった。
今後は10月下旬までに3回の審議会を開き、長期ビジョンの素案を作成。パブリックコメントと2月に開く第5回審議会を経て、正式に策定する。
提供:建通新聞社