今春、県内で建設業に入職した新規学卒者の平均初任給額が男性で大卒22万8000円、高卒は20万円の大台となったことが分かった。前年から大卒は3000円、高卒は6000円増えたものの、伸び幅が鈍化し、女性に至っては減少に転じた。資機材高騰など厳しい経営環境が続く中、懸命に企業努力していることを伺わせる。
(石神寛・報道部長)
鹿児島労働局のまとめによると、2026年3月に卒業して県内の建設業に就職した男性の初任給額は、大卒が22万8000円(前年比3000円増)、高卒は20万円(同6000円増)となった。一方、女性の大卒は22万2000円(同1000円減)、高卒は18万8000円(同3000円減)と下回った。
県内の全産業平均は、大卒が男性24万5000円(前年比1万1000円増)、女性24万2000円(同5000円増)。高卒は男性20万5000円(同9000円増)、女性20万円(同9000円増)となった。売り手市場を背景にいずれも1万円近い伸びであるが、伸び幅は低下した。
県内の建設業と全産業の平均を比べると、高卒は男性が5000円、入職者の少ない女性は1万2000円届かず、大卒は男女とも2万円程度の開きがある。
産業別(全18区分、男性)で最も高かったのは、大卒が金融・保険の26万2000円。ほか、公務26万円、運輸・郵便25万3000円、製造業と情報通信25万1000円−などが続いた。これに対し、高卒は学術・専門・技術の23万円が最高。ほか、情報通信22万円、農林漁業21万4000円−などとなった。
■7割が引上げ
逆転現象に懸念
帝国データバンクの調査によると、今春入社した新卒社員の初任給を前年度から引き上げた企業の割合は67・5%(前年度比3・5ポイント減)に達した。人材確保や定着率の向上を図る狙いのほか、ベースアップ(ベア)の実施などが背景にあるとみられる。引き上げ額の平均は9000円程度で、金額帯では「20〜25万円未満」が6割でトップになった。
初任給を引き上げた建設企業からは、「物価高で経営は非常に苦しいが、担い手不足が喫緊の課題。人材確保を目的に引き上げに踏み切った」と対応せざるを得ない状況を吐露する。一方、引き上げなかった企業からは「既存社員との賃金バランスを考えると難しい。既存社員に対して大幅な賃上げを行える体力がない」(飲食料品・飼料製造)との声が目立つ。
採用面で一定の効果が期待される初任給引き上げ。他方では、社内の賃金バランスの調整や人件費総額の増加への対応が避けられない課題だ。企業努力は不可欠だが、政府のさらなる支援策が求められる。