京都府は30日、今後10年の府営住宅等のあり方について、中間案をまとめ明らかにした。
府営住宅等長寿命化計画(平成28年度〜令和7年度)は、令和8年度までの延長を経て、次期計画(令和9〜18年度)の策定に向け検討を進めており、今回、次期計画の策定及び今後の府営住宅政策の推進に向けた検討の方向性を中間案として示した。
中間案では2つの方向性を挙げた。方向性Tは「財政負担の縮減・平準化を図りながら、更新期を迎える府営住宅等ストックを一層『効率的』に整備・維持管理」。
主な取り組みは@データに基づく戦略的な維持管理の推進(▽住棟・住戸別カルテの整備(指定管理者が有する設備や改修履歴等のデータを活用し、住棟・住戸別の情報を一元管理できるカルテを整備する。これにより、修繕箇所や時期を的確に把握し、事後保全から予防保全型の維持管理への転換を加速させる)▽ライフサイクルコストの縮減(予防保全の徹底により、将来にわたる修繕コストの抑制と事業費の平準化を図り、長寿命化を推進する)A民間活力(PFI等)の導入と余剰地の有効活用による地域課題解決(▽PFI手法の積極的な活用(建替え事業においては、初期投資の抑制や民間ノウハウの導入を図るため、PFI手法を積極的に検討・活用する)▽地域課題解決型の余剰地活用(建替えによって生じた余剰地を単に売却するだけでなく、地域課題の解決に資する福祉施設、子育て支援施設、多世代交流スペースなどの導入を、PFI事業の範囲内や市町村連携を通じて柔軟に検討する)B適正なストック規模の確保と管理戸数の削減(▽世帯推計に基づく戸数管理(国の最新の推計プログラム等を活用し、将来の住宅確保要支援世帯数を見極めた上で、長期的には管理戸数を削減する方向で検討する)▽地域バランスとセーフティネットの維持(削減にあたっては、地域ごとの需要や市町営住宅の供給状況を考慮し、セーフティネットとしての必要最低限のストックを適正に配置する)▽災害時バッファーの確保(大規模災害時の緊急的な住まいとしての機能を維持するため、一定の政策空家を計画的に確保する)。
方向性Uは「住宅セーフティネットの核として、誰もが安心して暮らせる持続可能な住環境を一層『効果的』に確保」。
主な取り組みはC市町村及び多様な主体との連携による地域づくり(▽広域と地域の役割分担の明確化(府は広域的・長期的な政策推進を担い、市町村は地域事情に応じた個別案件に対応するという役割分担を明確化した上で、連携を強化する。市町村においては市民の実生活への距離が近い分、目的外使用も含めて、より多様なニーズを把握し、個別に対応できる可能性がある。一方、府営住宅においては、例えば、より共通性の高いセーフティネットや災害時のバッファーとしての役割の比重を上げる。これらを相互に連携して実行することで、計画的・効率的な運用が期待できる)▽空き住戸の目的外使用の促進(国の技術的助言(令和8年)を踏まえた目的外使用の柔軟化や、使用料の減免等の費用負担軽減等により、民間企業や非営利法人等による京都府府営住宅等ストック活用公民連携事業の利用促進を図る。特にエレベーターの無い中層階の利用促進や加速する入居世帯の減少・高齢化を考慮し、若者世帯の入居促進等によるコミュニティの活性化について留意する)D子育て世帯・高齢者等への対応(▽子育て世帯や高齢者等が利用しやすい住環境の整備(高齢者に対する住戸の整備として新築時及び既存住戸改修においてバリアフリ一設計を実現している。今後も高齢者に配慮した住居設計、設備技術の動向を継続的に調査し、経済性・実現性・運用性を総合的に評価しながら、適切な技術の導入検討を行う。子育て世代に向けては、間取り、キッチン、浴室を使いやすくした住戸の整備を実現してきた。一方、ソフト面でも高齢者、子育て世代ともに世帯状況の変化に合わせた対応を継続していく)▽新婚世帯、子育て世帯その他裁量階層の居住者増を図る(国通知(令和5年)を踏まえた新婚世帯、子育て世帯の入居収入基準額の引き上げ(月収21・4万円→月収25・9万円)や、その他の裁量階層の入居収入基準額の引き上げにより居住対象者の拡大を図る。特に加速する入居世帯の減少・高齢化を考慮し、若者世帯の入居促進等によるコミュニティの活性化について留意する)E環境配慮型住宅の普及と既存ストックの改修(▽ZEH水準の新築整備(建替え時においては、京都府の条例に基づき、ZEH−M Oriented相当の省エネルギー性能確保と太陽光発電設備の設置を原則とし、脱炭素社会の実現を先導する)▽既存住宅の性能向上改修(子育て住戸改修などの機会を捉え、既存住宅においても可能な範囲内で断熱性能の改善に努める)。
各施策については、達成目標(数値目標)の設定と定期的な検証・評価によりPDCAで機動的な見直しを図る。
計画改定は令和9年3月を予定。