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建通新聞社(静岡)
2010/04/01

【静岡】県=布沢川ダム、用地買収等を当面見送り

 静岡県は、興津川水系布沢川(静岡市清水区吉原)に国の補助を受けて整備する生活貯水池「布沢川ダム」について、当面の間、本体工事関連の調査や用地買収を見送る方針を固めた。国のダム事業見直しの方針を受けて、各自治体でも補助ダム事業の検証が迫られたことによるもの。今夏をめどに、国の「今後の治水対策の在り方に関する有識者会議」がダム事業の可否を判断する新たな評価基準をまとめ、地域ごとに事業を検証する予定。検証結果を踏まえ、県では2010年度末にもダム事業の進め方を判断することになるが、必要性が認められれば事業は継続される。10年度には、工事用道路の清水富士宮線・吉原バイパスなどの整備を進める計画だ。
 国が昨年12月に設置した有識者会議では、ダム整備に頼らない方法を含めた幅広い治水対策案の立案手法や、複数の治水対策案を比較するための新たな評価軸の在り方を議論している。夏ごろにも、ダム事業の継続・凍結を判断する評価基準を策定し、基準に沿って布沢川ダムなどの事業検証を実施する。
 県の対応方針としては、検証結果が確定するまでダム本体の調査や用地買収は見送る。検証作業が完了する10年度末時点で、あらためて事業の進め方について判断する見通し。
 県議会2月定例会で衛門久明建設部長は、布沢川ダム整備事業を「地域の安全・安心に必要な社会資本」と位置付けた上で、「早期に検証を完了させ、1日も早い時期の完成を目指す」意向を示している。
 当初、10年度にダム本体の調査や用地買収の着手を予定していたが、11年度以降にずれ込む公算が大きい。順調に行けば、12年度にダム本体工事の仮設・水替工事、13年度に掘削工事、14〜15年度にコンクリート打設工事を進め、16年度の完成を見込んでいる。
 一方、道路工事については、現在進めている工事用道路(清水富士宮線・吉原バイパス)の整備を12年度までに完了させる。並行して、10年度からは付替道路工に着工し、15年度までに整備する予定。
 ダムは、洪水調節・河川維持用水・上水道用水を目的とする多目的ダムとして計画。形式は重力式コンクリートダムで、規模は堤高59・5b、堤頂長155b、堤体積10万7000立方b。総貯水量81万6000立方bのうち、有効貯水量は66万立方bを予定。1993年度に県が事業着手している。
 09年度には、建設技術研究所でダムの本体実施設計を進めてきた。09年度の事業費は7億2000万円で、約半額の国庫補助を受けている。

建通新聞社 静岡支社