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北海道建設新聞社
2010/06/07

【北海道】「陸上競技場の新設必要」−円山、厚別の老朽化で札幌市が検討

 陸上競技場は新設を前提とした抜本的な見直しが必要―。札幌市スポーツ振興審議会は3日、STV北2条ビルで第23期1回目の会合を開き、「屋外系スポーツ施設の在り方」についてワーキングがまとめた報告を受け審議、了承した。その中で、円山と厚別の陸上競技場は、老朽化はもちろん、風が強い立地条件の悪さなどいくつもの課題を抱えているとして、新たな競技場整備が必要との見解を打ち出した。今後、パブリックコメントを経て9月上旬までに最終答申をまとめる予定だ。
 ワーキングでは、屋外系スポーツ施設の現状や利用実態などを評価し、今後の施設運営や整備の在り方などを検討した。
 市内の主な陸上競技場は円山と厚別の2カ所。どちらも全道規模の大会などが開かれ、一般開放も含めて毎年一定数以上の利用者を確保している。特に、厚別は、国際大会なども開催できる道内唯一の第1種公認陸上競技場でもある。
 しかし、円山競技場は老朽化が著しく、観客席のコンクリート劣化、トイレやシャワー室、更衣室の機能のぜい弱さから、ワーキングでは「特に付帯施設が限界に達している」と評価。
 厚別競技場も、施設の劣化と競技規則の改定により、大規模な改修工事を施さなければ、2010年度の公認更新で第2種へ降格となる可能性が高く、「第1種競技場がなくなることは陸上競技、観戦両面において大きなデメリットになる」と指摘している。
 また、陸上競技関係者からは両施設とも「常時風が強く、記録が出にくい競技場」との声が寄せられており、改修を施しても立地の悪さに伴う「風の強さ」は課題として残る。
 こうした状況を踏まえた上で、ワーキングでは「スポーツを観戦文化の醸成という側面から見ても、国際的・全国的な大会が開催できる水準を維持することは極めて重要」として、陸上競技場は新設を前提とした抜本的な見直しが必要と結論付けた。
 そして、市内の屋外系スポーツ施設に関する総括として「利用者のニーズに合った施設が少ない」と評価。特に一般愛好者の利用促進を図る上で、トイレや更衣室、シャワールームといった最低限の設備が非常に貧弱であるとし、障害者の利用も考慮したユニバーサルデザインへの対応も求めている。
 審議会では「この報告を踏まえ、市は設備の整備などに早急に対応してほしい」との意見や、「まずスポーツについて札幌市としてのグランドデザインを描くことが重要」だとも提起した。
 審議会は、これまでに示された「屋内系」と「冬季」スポーツ施設の報告書も合わせて、8月下旬か9月上旬にも最終答申をまとめる。答申を受け市は、11年度に策定する次期スポーツ振興計画に反映する。