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福島建設工業新聞社
2010/06/30

【福島】福島市議会が国に「公契約法」の制定を要望へ

 福島市議会は6月定例議会最終日の28日、本会議で、公共工事に従事するすべての人が適正な労働環境の下で働けることを保証する「公契約法」の制定を、国に求めるための意見書(議員提出)を採択した。公共事業の激減、入札制度の改革に伴って公共工事はし烈な価格競争を招き、低価格落札が横行してそのしわ寄せが下請、末端労働者に転嫁。その結果、他産業に比べて建設産業従事者の生活レベルは悪化するばかりで、技術・技能労働者でさえ転業を余儀なくされている。こうした現状を打開し、適正な公共工事執行体制を確立するため、市議会として政府に公契約法の創設を求めることになった。公契約は昨年9月、国に先駆けて千葉県野田市が条例を制定、全国初の取り組みとして注目され各地で設置の意識が高まっている。
◎公契約法の制定を求める意見書
構造改革や規制緩和が進められた中で、地方自治体が発注する公共事業や事業請負契約において、低価格の入札等が全国に広がった。その結果、しわ寄せが下請事業者や業務に従事する労働者に回され、働く者の賃金の低下を招き、公共工事を支える建設労働者のみならず、担い手不足の福祉・介護分野など多くの公共サービス従事者の労働環境悪化と生活破壊が作り出されている。また、公共工事の品質と公共サービスの質の低下だけでなく、自治体自らが「ワーキング・プア(働く貧困層)を作り出しているとさえ言われている。
 賃金の激変で当面の生活も成り立たない窮状、未来に希望が持てない若年労働者の現状、この事態を緊急に打開するためには、不平等な下請け契約や働き方等を是正する法整備が必要不可欠である。
 公契約法がめざすのは、公契約従事者の生活費として公的な基準を示す責務と親企業や下請け企業の間で、不当な圧力等を排するための公正な取引の確立であり、社会的価値や公正労働を重視した入札改革や条例制定が全国自治体に波及することが目的である。
 適切な請負契約によって、安値競争の犠牲となる労働者を減らし、公共サービスや公共事業の質を高め、市民福祉、教育等を充実する基礎の一翼を担うことで、地域経済の活性化、地域再生につながり、市民が豊かで安心して暮らせる地域社会の実現が図れるものと考える。
 よって、国においては、現状を早急に調査し、平成21年5月20日に成立した公共サービス基本法の理念に基づき、公契約法の制定を急ぐよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。