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建設経済新聞社
2010/07/01

【滋賀】南部クリーンセンター整備事業 24年度末にも工事具体化へ

施設配置計画(現段階計画)
 大津市は、南部クリーンセンター整備事業に取り組んでいる。市の安定した、ごみの適正処理を確保するため、市総合計画及び一般廃棄物(ごみ)処理基本計画に基づき、ごみ焼却を中心とした施設を新たに整備するもの。既存の大津クリーンセンター(同市大石中6丁目)を用地拡張し、建て替える。今後、処理施設計画・設計や、環境影響評価(アセス)を経て、現段階では24年度末にも工事具体化の見込みだ。
 市では、循環型社会の構築を目指し、計画的に各種3R施策の展開や必要な処理施設の整備を行うことにより、ごみの発生・排出抑制、リサイクルや適正処理を推進している。ごみを適正に処理・処分を行うための施設としては「ごみ焼却施設」「リサイクル施設」「最終処分場」がある。
 このうち、ごみ焼却施設については、北部の「北部クリーンセンター」、中部の「環境美化センター」、南部の「大津クリーンセンター」の3施設があり、計画的に補修・点検を行い、適正な稼動を維持してきたが、いずれの施設も老朽化により処理能力の低下等が心配され、速やかに新たな施設を整備することが必要となってきている。
 このほど市が作成した南部クリーンセンター整備事業に係る環境影響評価実施計画書によると、南部クリーンセンター整備事業の事業予定地は大津市大石中町。市南部の山間部(標高約150m)に位置。既存施設の大津クリーンセンター及び大津市下水汚泥焼却施設の用地と、その東側の丘陵地(過去に土砂採取が行われた箇所を含む)が対象事業の実施区域となる。
 西側には廃棄物最終処分場の跡地利用として大石グリーンパーク(公園・運動広場)が整備され、その奥には大石工業団地が位置し、民間の廃棄物中間処理工場(破砕・焼却等)が複数立地。計画施設北西側には住宅団地がある。大津クリーンセンターごみ焼却施設北側の大津市下水汚泥焼却施設は、湖西浄化センターの流域下水汚泥処理事業の開始に伴い稼動を停止し、24年度に解体撤去予定(▽1号炉〔休止中〕=流動床炉40t/日、煙突高さ18・9m▽2号炉=流動床炉50t/日、煙突高さ30m)。
 施設概要をみると、南部クリーンセンターは「ごみ焼却施設(熱回収施設)」「リサイクル施設」等から構成。全体の敷地面積は約5f(山林部分約3・5f、既存施設部分約1・5f)。新施設の稼動後に既存の大津クリーンセンターは解体撤去する(▽ごみ焼却施設=ストーカ炉75t×1基、煙突高さ40m▽破砕設備=25t/5h▽再資源化施設=かん類9t/5h、びん類12t/5h、ペットボトル2・5t/5h)。
 「ごみ焼却施設(熱回収施設)」及び「リサイクル施設」の基本仕様は環境影響評価準備書作成時に確定する。新施設では大津クリーンセンターでの処理内容にプラスチック容器の処理が新たに加わるが、処理方法(ストーカ炉による焼却、破砕、選別、プレス機による減容等)は基本的には変わらない計画。また、焼却炉の余熱を発電や給湯など積極的に有効利用(発電効率または熱回収効率10%以上)することにより、地球温暖化防止に配慮する。給湯については、ごみ処理施設及び同敷地内に建設する「余熱利用施設」に供給。内容等は今後決定する。
 「ごみ焼却施設(熱回収施設)」の基本仕様(現段階計画)は▽焼却方式=全連続燃焼式ストーカ炉▽施設規模=135t/日▽煙突高59m(地盤高約150m)▽余熱利用=発電設備(蒸気タービン約2500kw)、給湯設備▽排水=プラント系排水、生活排水、雨水排水▽公害防止設備=排ガス処理設備、エアカーテン等−など。
 「リサイクル施設」の基本仕様(現段階計画)は▽施設規模=41t/日▽処理対象=燃やせないごみ・大型ごみ(破砕後に選別)・かん・びん・ペットボトル・プラスチック容器(選別及びプレス機による減容)▽付帯施設=啓発施設▽排水=プラント系排水、生活排水、雨水排水▽公害防止設備=集じん設備、エアカーテン等−。
 「余熱利用施設」の仕様例(他事例による想定)は▽施設=温浴施設等▽付帯施設=利用者駐車場等▽排水=生活排水、雨水排水−。
 給排水の基本仕様(現段階計画)は▽用水=上水道を利用▽プラント系排水=極力循環再利用し、再利用出来ないものは排水処理設備で適正に処理した上、公共下水道へ放流▽生活排水=公共下水道へ放流▽雨水排水=山田川へ放流。なお、雨水がごみ処理設備や作業区域に流入し汚れることの無いよう、床勾配等で流路を切り分ける−。
 施設配置計画は環境影響評価準備書作成時に確定する。現段階においては、敷地拡張する丘陵地に「ごみ焼却施設(熱回収施設)」及び「リサイクル施設」、解体撤去する既存の大津クリーンセンター跡地に「余熱利用施設」が考えられている。
 環境アセスは今回の実施計画書の作成から、環境影響評価準備書、環境影響評価書の作成、事業着手まで、滋賀県環境影響評価条例に基づく手続きに概ね3ヵ年を要する。市では22年度業務として現在、基本計画・基本設計(処理施設及び敷地造成)や、測量・地質調査、継続の環境影響評価を進めている。実施設計業務の委託時期等については今後、地元協議等で具体化するとみられる。
 現段階での南部クリーンセンターの整備スケジュールは、ごみ焼却施設(熱回収施設)・リサイクル施設が、24年度末から工事(契約手続き等準備期間数ヵ月を含む)、27年度末に完成、28年度から稼動。既存の大津クリーンセンターは28〜29年度に解体工事。余熱利用施設は30〜32年度に設計・工事の見通し。
 なお、基本計画・基本設計業務及び地質調査業務はエイト日本技術開発大津事務所(大津市)、敷地測量業務は正和設計(大津市)、環境影響評価業務は日本気象協会関西支社(大阪市中央区)が担当。