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鹿児島建設新聞
2010/07/14

【鹿児島】公立学校耐震化・166棟の診断業務繰り越す 構造設計 人材不足が浮き彫り  

 県内公立学校の耐震診断業務に、大幅な遅れが生じていることが、本紙取材で分かった。21年度の予定棟数のうち、約4分の1に上る166棟が22年度に繰り越されたもよう。国の支援制度の拡充などが主な要因になっているが、構造実務を担える設計担当者の人材不足が浮き彫りになった格好だ。 
 耐震診断のうち、構造計算などが必要な2次診断は、21年度に県内で市町村立校が470棟、県立学校が149棟の計619棟が実施計画で予算化。同年度内の事業として執行できたのは453棟で、残りの小中学校などの市町村立校55棟、県立学校111棟の計166棟が22年度に繰越されたとみられる。 
 県内の公立学校で100%実施したとされる耐震診断は、2次診断の優先度を検討することを主な目的とした「優先度調査」。このため、耐震診断はピークを過ぎたとみられているが、小中学校の耐震化率は61.2%と全国平均の67%を下回っているのが現実で、耐震化を図るための耐震診断の遅れは否めない。 
 また、耐震化を図るためには2次診断から補強計画、実施設計と少なくとも3年程度の時間が必要。このため、構造実務者はその都度需要があるものの、1者で20〜30件程度が限度とみられ、県内に十数人いる構造技術者で対応可能な件数は、年間に400件程度となっている。 
 耐震化を図る建物は学校施設ばかりではなく、自治体には自ら保有する公共建築物への対処も迫られる。さらに、構造技術者には民間などの新築物件への対応も求められる。 
 国内では、過去10年連続で震度6弱以上の地震も発生している。建物の安全・安心確保はもちろんのこと、建築業界が抱える構造不況の一端の解消にもつながるような構造実務者育成に向けた取り組みが、官民ともに問われているといえそうだ。

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