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建設経済新聞社
2010/08/23

【京都】道路財源の見直し論浮上 鉄道整備への使途拡充を 関西空港アクセスの改善で

会場の様子
 上京区のホテル平安会館で19日、京都府・京都市・府内商工会議所らで組織する「明日の京都の高速鉄道検討委員会」の第2回委員会が開かれ、関西空港アクセスの改善やリニア中央新幹線の京都ルートに関する検討が行なわれた。
 事務局の報告によると、関西国際空港アクセスの改善として、短期(10年)・中期(20年)・長期(30年)の3段階で目標を提示。
 短期目標では、大阪環状線内に1駅、阪和線内4駅の追越設備の新設のほか、茨木駅〜大阪駅間の吹田信号場構内軌道を強化することで、京都−関空間の全列車75分での運行を可能とすると提案。概算費用として総額約500億円と算定。
 中期目標では、新大阪駅から東海道支線を通りなにわ筋、難波付近を結ぶ「なにわ筋線」の開通によって、所要時間が60分台に短縮されるとした。事業費としては中間駅なしで約2000億円、中間に5駅(中津駅・福島駅・中之島駅・西本町駅・西大橋駅)を新設すると約4000億円かかると試算。
 さらに長期目標としては、新大阪−関空間に既存新幹線を整備することで、京都−新大阪間と合わせて所要時間が32分で結ばれるとし、事業費は約4000億円と試算。また京都−関空間にリニア新幹線を整備。大阪経由で15分程度、事業費約1兆8000億円と試算。奈良経由で18分程度、事業費約2兆1600億円と試算した。
 これを受け、中川大委員は「今の国の投資制度では財源不足のため不可能」と一蹴しながらも、「実現するには、道路建設に使われる財源を鉄道にも拡充していくなど投資制度上の見直しが必要」と述べた。また府副知事の太田昇委員は「京都のみならず、京阪神の受益者らを交えた議論展開が建設的」と述べた。

リニア京都ルート
須田委員「現実的ではない」
 続くリニア中央新幹線の京都ルートについては、リニア整備後の京都から東京へのアクセスをシミュレーション。京都駅では現況の137分から45分短縮の92分で最短所要時間とし、新大阪駅(154分→65分)、奈良駅(171分→85分)と比較した結果、「京都−東京間が不便になる」とした。さらにリニア新幹線の発着駅を京都市・奈良駅と京都駅の中間地点・学研都市・奈良市の4ヵ所を仮定にMICEなどを含む経済効果等を検証。その結果、「奈良市付近を経由する基本計画ルートより学研都市を経由する方が優位性が認められる」と位置づけた。
 これに対して、JR東海の相談役を務める須田寛委員は「今から発着駅を奈良市付近から変更することは現実的ではない」と一蹴。「奈良市付近を前提として、京都駅−発着駅までのアクセスの改善策を」とし、「むしろ、北陸新幹線の敦賀駅以降の延伸ルート検討を進める方が建設的だ」と述べた。
 なお、府らはリニア中央新幹線ルートについて、本委員会で検討された内容を踏まえ、現在、国土交通省が8月28日まで募集中のリニア中央新幹線の整備計画に関するパブリックコメントに自治体及び団体レベルとして提言していく模様。