トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日刊建設タイムズ社
2010/09/16

【千葉】QMS力量アップへゼミ/県コンクリート製品協組が ISO認証の「維持・継続」で 

9.17 千葉県コンクリート製品協同組合(池田喜美夫理事長)は16日、千葉市内の組合会議室において「QMS(品質マネジメントシステム)力量アップセミナー」を開いた。
 同組合は、組合員を傘下の関連事業所に位置づけ、独自の共通の品質管理マニュアルを作成。@組合及び組合員発展の基礎を強固なものとするAシステムの運用により、組合及び組合員のレベルアップを図るB顧客の要求事項を満足させ、組合員の地位向上を図る――ことを目的とし、2005年に「ISO9001:2000」の認証を取得。
 理事長をトップマネジメントに据え、組合がISOの認証を取得したケースはあるものの、組合員を傘下の関連事業所として位置づけて共通の品質管理マニュアルを作成した同組合のケースは、全国的にも例がないことから、「組合における認証取得のモデルケース」として、業界からの耳目を集めている。
 05年に認証を取得し、翌06年に拡大登録した同組合の現在の関連事業所は、去O滝コンクリート工業、潟eラコン、平野コンクリート工業梶A千葉コンクリート梶A日新コンクリート工業汲フ5事業所。
 同セミナーは、組合におけるISO認証を維持継続していくため、前述の5事業所の個々の力量アップを図ることを目的に、毎年1回ずつ開催しているもの。この日の講師は、管理責任者である神子勇・事務局長=写真=が務めた。
 講義に先立ちあいさつした神子事務局長は、「組合のQMSはISO認証取得そのものを最終目標とするのではなく、取得後の維持継続に重点を置いている」と前置きしたうえで、「それは、このシステムが『目標必達型』で、経営のツールとして運用する方が『良い社会づくり』に繋がるからであり、この考え方こそが、QMSの最大の特徴である」との見解を示した。
 引き続いて行われた講義では、項目を「QMS運用の意義」「組合のQMS」「共通帳票類の用い方」に大別。
 このうち、QMS運用の意義で氏は「良い会社(CSR)の条件」として、@働く喜びA目に見えない報酬B社員の意識は「プロフェッショナル」C社会的責任は「使命」D社会貢献は「本業」を通じてE人材は「社会の資産」F利益は「社会貢献への期待」――の7つを提唱。
 また、「品質マネジメントの原則」としては、@顧客重視AリーダーシップB人々の参画CプロセスアプローチDマネジメントへのシステムアプローチE継続的改善F意思決定への事実に基づくアプローチG供給者との互恵関係――の8つを掲げた。
 管理責任者として品質管理マネジメント作成の中心的な役割をはじめ、組合と関連事業所及び各事業所間のパイプ役を果たした神子事務局長は当時、「共同販売などを主とする組合とは違い、我々は製造工場であることから、組合員が認証を取得しなければ意味がない。そこで、組合員を関連事業所に位置付け、事務局において管理するかたちで認証取得にこぎ着けた」と弁。
 また、組合が品質管理マニュアルを作成したことのメリットについては、「認証取得後のISOを実際に運用することを考えた場合、自らが知恵を出し合い作成することで、品質管理マニュアルの完成時には、すでに自分たちのものになっていたという実感がある。今後、組合員が関連事業所として認証を取得する場合、新たにマニュアルを作る必要がないということが、組合員の負担を軽減し、効率的だと思う。コンクリート製品という共通事項が多いことから、この手法が可能になった」と分析。
 さらに、組合と関連事業所が一体となって認証取得を目指した段階で気付いたこととして氏は、「同業者は本来『敵対関係』と言われるが、ともにISOの認証取得を目指すうちに、必然的に垣根が取り払われた。それぞれが他社の工場に乗り入れし、JISの社内規格をオープンにして良い点は互いに吸収し合うなど、従来の発想では考えられないことだった」としたうえで、「それらが意味するものは、パテントは別としても、本来、普通のコンクリート製品の社内規格はノウハウとは言わない。それらの製品を作る方法は、他社を真似ればよいこと。言い換えれば、我々中小企業が限られた人材でISOの認証を取得するためには、それらを出し合うことにより、各社の優れた人材を活用しなければならないと判断した」という。
 一方、この取得方法がいわゆる『同業種交流』の面から、千葉県中小企業団体中央会も注目したことについては、「同業種交流というものは、他の業種では難しいとされるが、各社がそれぞれ何十年も続けてきたことの中には、必ず良いものがある。それらを『井の中の蛙』にすることなく、お互いに向上できたことが一番のメリット。また、他社の色々なアイデアが入るということで、お互いにメリットが生じるなど、組合としては究極の事業だと思う」と述べている。

提供:日刊建設タイムズ