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北海道建設新聞社
2011/04/04

【北海道】震災余波でコンパネ、鋼管類に品薄感−住宅機器納品遅れも 

 関東と東北を襲った東日本大震災の発生から3週間が過ぎ、道内の現場からも建設資材の不足を訴える声があちらこちらから聞こえている。ガラスやサッシの工場が被災から復旧できなかったり、軽油などの不足で物流面で滞りが出ているため。復興を急ぐ仮設住宅の建設や水道・ガス類のインフラ整備へのシフトから、コンクリート型枠用合板(コンパネ)や鋼管類も品薄感が強まってきた。長期化すれば工期延長や着工時期の見直しなどの措置も考えられ、経済への打撃が懸念され始めている。
 品薄感が最も叫ばれているのはコンパネ。「うちは輸入材を扱っているが、流通が滞っているのと被災地の仮設住宅向けに回り、本道では手に入りにくくなっている」(旭川市内の型枠大工会社)という。
 日本合板工業組合連合会によると、岩手と宮城の両県で被災した組合員の製造メーカー6社を除いた、連合会による国産針葉樹構造用合板の在庫量は430万枚(長さ1800×幅900×厚さ鱇_換算)。月間の最大生産能力は800万枚に上るという。
 林野庁の試算では、応急仮設住宅3万棟の建設に必要な合板は2カ月で?万枚。足元の在庫量と生産量であれば、仮設住宅や緊急復興の需要分は十分対応できる計算だ。
 同連合会では「関係者は市場の混乱を招かないよう、投機的行為や過剰な仮需を慎み、エンドユーザーへスムーズに国産合板を届けるよう協力してほしい」と話している。
 住宅エコポイントによる特需で品薄状態が続いていたグラスウールなどの断熱材も、工場が被災した影響から需給バランスが後退の気配にある。
 業界の一角を担うマグ・イゾベール(本社・東京)は、茨城県内の明野と土浦の両工場が損壊。土浦はパイプカバーなど製造できる製品から出荷を再開しているが、明野は復旧に2カ月ほどかかるとみられている。米国や韓国のグループ会社から緊急輸入を検討している状況だ。
 札幌市内の大手建材商社は「連休明けには供給が改善されると伝えられていた矢先だったのに」と動揺を隠しきれないでいる。
マンションの工期にも影響
 キッチンやエレベーターの納品の遅れから、マンション建設の工期も怪しくなってきた。水回りでは、福島県いわき市にあるクリナップ(本社・東京)の主力工場が被災。地域の水道インフラの復旧を待ち、操業を見合わせている。
 サッシなどを扱うトステム(本社・東京)は、鴉日までに東北と福島の物流拠点での出荷機能を再開させたが、配送トラックの軽油不足や計画停電の影響で納期の遅れは否めないもよう。
 建築用板ガラスを製造する旭硝子(本社・東京)の鹿島工場も設備の一部が損傷し、生産を停止。4月中旬の再開を目指して復旧作業を進めている。再開までは、在庫や海外を含むグループ内の他の拠点から出荷をカバーし、受注に応える考えだ。
 「工事が止まるほどの支障ではないが、キッチンやエレベーターの納品が遅れている。つい先日もオーナーに工期がずれ込む可能性があると説明して回ったところ。流通次第だが、長期化なら顧客との話し合いが必要になる」と地場ゼネコン。
 別のゼネコン担当者も「床材の調達が難しく、3月いっぱいの納期だったマンションのモデルルームが造れないでいる。6、7月には落ち着くと思うが、工期の遅れはオーナーに理解してもらうしかない」とお手上げの様子だ。
 建築に比べて資材が限定される土木は、供給不足がそれほど聞こえていないが、専門性の高い農業土木ではパイプライン用の鋼管類が入手しづらくなりそうだという。部材が被災地の水道復旧へ回っているためだ。
 千葉県市原市にあるクボタ(本社・大阪)の京葉工場は、生産レベルが被災前まで戻りつつあるが、計画停電の動向から流動的な要素は残されたままだ。
 札幌市内のある水道設備工は「どこの業界やメーカーも同じだが、効率化から在庫を減らして受注生産に切り替えた体制が、こうした有事であだになるのを痛感する」と胸中を明かす。